総入れ歯より部分入れ歯に起こりやすい
入れ歯は最低限水の中で保存すること。
こんなとき真っ先に考えるのが入れ歯の変形です。入れ歯は唾液に濡れている状態で使用するため、乾燥させてしまうと微妙に変形してしまいます。そのため就寝中などの保管時には、水の中に保存しておく必要があります。
しかし乾燥による変形はごくわずか。実はこれ以上に変化するものがあるのです。それは部分入れ歯のバネ(入れ歯を固定する金具)をかけている歯です。部分入れ歯を使わないでいると、残っている自分の歯の負担が大きくなり、まるで矯正されたように噛むたびに少しずつ歯が移動したり、傾いたりするのです。
こうして部分入れ歯が口の中に入れることができなくなるのです。
最悪のケースは作り直しになることも……
使わなくなった入れ歯が合わなくなったとしても、調整で復活するか作り直さなければならないかは、ケースバイケースです。入れ歯と粘膜の隙間が大きくなって「ゆるく」なってしまっても、最近では床適合法と入れ歯の修理を行なうと比較的簡単に改善します。噛み合わせも変化していることがあり、きちんと噛むことができなかったり噛むと痛くなったりするので、調整が必要です。しかし前述のような入れ歯を固定するための歯が傾いたり移動してしまった場合は、歯の移動を元に戻すことは困難なことが多く、部分入れ歯の形の修正はわずかしかできないため、作り直しになることが多くなります。
部分入れ歯は、どうしても残っている自分の歯と比較してしまい、「力が入らない」、「異物感がある」などの原因で、最初だけ使って後は使わなくなってしまうことがよくあります。しかし、たとえ同じように噛めなくても使用するだけで、自分の歯にかかる噛み合わせの力を分散するため、歯にかかる負担を軽減でき、残っている歯の寿命を少しでも長く伸ばすことができるのです。
実はよくある!間違った入れ歯の組み合わせ
まれに複数の入れ歯を持っている場合に、組み合わせの違う入れ歯を使ってしまうことがあります。(例えばAの上の入れ歯にBの下の入れ歯など)セットで使う入れ歯を間違えて使用してしまうのです。一度勘違いしてしまうと、他人が確認するとこもできないため、合わない組み合わせを使い続けようとします。入れ歯の組み合わせが間違っていたとしても、噛まなければそれほど違和感が感じられません。ただし噛んだ時には歯並びが微妙に異なっていることが多いため、しっかり噛むことができず変な形で入れ歯が歯ぐきに押されて痛みが起こります。
複数の入れ歯を使い分ける場合は、必ずセットでつけるように保存場所などで区別するようにしましょう。