まだ遅くない!純金積立の魅力とは?
鉱山会社、貴金属商、商社、一部の証券会社で取り扱っている「純金積立」。預貯金の自動積立と同じように、毎月一定額が指定口座から引き落とされて買付けをしてくれるため、投資初心者でも気軽にはじめられると根強い人気のあるマネー商品です。歴史的にも高値水準にある金価格のおかげで、「純金積立」を長期間続けてきた人は、ようやくその恩恵を享受していることでしょう。積立投資の特徴のひとつに「ドル・コスト平均法」による価格変動のリスクを軽減できるというものがあります。価格が安い時には数量多く買付け、高い時には数量少なく買い付けられるため、結果的に購入価格が平均化されるというものです。
長期に積み立てをしてきた人は、金の数量はどんどん増えていくのを実感しましたが、なかなか金価格が上昇しなかったために、評価額が思うように増えないという状況にありました。それが一転。これまで安値の時期に積み立ててきた金の評価額が一気に増加したのです。
では、これから「純金積立」をしてももう遅いのでは? と思いがちですが、景気回復とともに懸念されるインフレに対応するには、やはり実物資産である金に投資するのは不可欠。インフレによる貨幣価値の目減りに対応するためには金投資は防衛手段としても必要なことなのです。
「純金積立は、どうしても買付にかかるコストが、金ETFに比べて割高になってしまいますが、一度手続きをすれば強制的に積立ができるので、投資タイミングを図りづらいという人に向いている商品です」と田嶋さんは話します。
さらに、「スポット購入では手数料が無料のところも多いので、価格下落の時には、スポット購入をして平均買い付け単価を下げる工夫も必要でしょう」とアドバイス。
何よりも、保有する金の「グラム」が毎月確実に増えていく「幸せ感」は、純金積立ならではの魅力です。長期に積立をして値上がり時に換金するのもいいし、コインやジュエリーと等価交換するのも楽しみのひとつ。インフレリスクに対応しながら、将来、金が貯まったときにどうするかを考える「夢」も純金積立が人気の秘密なのでしょう。
監修/田嶋智太郎(経済評論家) 取材・文/伊藤加奈子