黄金の輝きをまとった、ロシアの王子様
さらっさらの流れるような金髪。濡れたような大きな黒い瞳、高い鼻梁。きわめつけにすらりと伸びた長い手足。エフゲニー・プルシェンコという選手は、まさに王子様と呼ぶしかないような男性です。黒を基調とした身体にぴたりとはりつく衣装に、ラインストーンやスパンコール。彼が高いジャンプや高速スピンをするたびに、それらがきらきらと輝き、見守るファンの女性たちの瞳にハートがうかぶのが、テレビのこちら側からでもわかるほどでした。
演技をおえ、その白皙(はくせき)の面をほんの少しだけ上気させて笑顔をうかべた彼が観客席に手をふれば、リンク上に舞い落ちる花束の雨。他のどの選手よりもその数は多いようで、彼だけではいつも抱えきれず、係のお嬢さんたちが一生懸命回収していたのをいまでも覚えています。
彼についてもうひとつ思い出すのは、その圧倒的な強さです。怪我の療養のため、3シーズンもの長きにわたり欠場していたにも関わらず、復帰するやいなや、並みいる強豪をおしのけて表彰台にのぼったのを見た時には、あぁ王子様が王様になったのだなぁと、なぜか納得したものでした。
エフゲニー・ヴィクトロヴィチ・プルシェンコ。黄金の輝きをまとった、ロシアの王子様です。