照れくさくて嬉しい、彼からのプロポーズ
異国で出会い、ずっと遠距離恋愛で交際していた彼。当時わたしが国外にいたのですが、結婚を考えて帰国することに。
自分としては帰国→結婚というルートをスピーディーにたどるはずでしたが、彼の転職などもあり、結局1年以上間が空いてしまいました……。
プロポーズは、3月のある日。
何のサプライズもなく、彼は「今日プロポーズする」、わたしは「今日プロポーズされる」と、お互いに認識済みだったように思います。
というのも、前年の年末に彼の転職が成功し、4月から晴れて正社員になることが決まっていたからでした。
お互いちょっとそわそわしながら向かったのは、彼の地元にある老舗ホテルのレストラン。
そこで料理を食べ終えたとき、プロポーズされました。
転職したてでお金もなく、婚約指輪なんて用意できなかった彼。
「結婚指輪もちょっと先になるけど……」
そう言って取り出したのは、スワロフスキーの小さな箱でした。
中には、クリスタルで出来た犬のペンダントが。
「おれは犬が好きだし、自分と結婚する人も、きっとそうだと思っていた」
「いつか結婚する人にあげようと、ずっと持っていた」
わたしたちが出会った国で買ったそれは、買ってからちょっと時間が経ってしまったようで何だか古臭く、わたしは彼ほど犬好きでもなく……。
ペンダントも可愛らしいけど子どもっぽい感じで、しかも、わたし自身に対して用意されたものでもなく……。
そんなことを考えると興ざめしてしまうけれど、どこか無骨で、女性に対してあまりスマートな振る舞いの出来ない彼がこんなことをやってくれたので、およそ3年前のあの日、見事に射落とされてしまったのでした。
あのときのことを思い出すと、今でも照れくさいし嬉しいけれど、ペンダントはその後も身につけてはいません……。
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