「ブータン農業の父」 西岡チョルテン
西岡チョルテンは、「ブータン農業の父」といわれ、ブータンで最も有名な日本人、西岡京治さんが眠る仏塔です。パロの中心部から車で20分くらいの丘に建てられています。「西岡さん、知っていますか?」知っていて当たり前かのように、突然、ガイドさんに聞かれました。どの西岡さんだろうかと頭をフル回転させて、「に、西岡すみこのことですか?」と絶対違うだろうと思いながらも言うと、「ダショーのことです。」と返され、話が余計に迷宮入りしました。
ガイドさんが言うには、1964年にJICAの農業専門家としてブータンに派遣された西岡京治さんのことで、ブータンでは学校で教わるぐらい有名だということでした。
西岡さんは日本の品種や栽培技術を持ち込み、自給自足率が約60%と貧しかったブータンの農業を劇的に変化させていきました。
2年の任期が終了した後もブータンにとどまり、1980年には、功績が認められ、ブータンにおける民間人の最高位「ダショー」の称号を贈られました。「最高に優れた人」という意味の名誉称号で、外国人としては初めて贈られたものです。
そして、1992年に敗血症で亡くなるまでの28年間、ブータン農業のために尽力されました。亡くなった際には、「国葬」として葬儀が行われ、ブータン全土から5千人もの人が集まったと言われています。
「西岡さんがいたから、今のブータンがあります。」ガイドさんはそう言います。そんな西岡さんが眠る、西岡チョルテン。日本人とはなんだろう、人生とはなんだろうなど、色々と考えさせられます。
ちなみに、ブータンでは、基本的にはお墓を作りません。お墓があることだけでも、凄いことなんです。