日本版ISA口座とはどんな口座?
日本版ISA口座に債券も入れられるようになる?
日本版ISA口座では、1人当たり最大500万円の投資金額から得られる配当金や売却益が5年間非課税になり、かつ口座開設が10年間出来る仕組みです。最大500万円とはいいつつも、1年間にISA口座で投資することが出来る金額は100万円です。つまり、毎年100万ずつ投資して行き、5年後から10年後の6年間が最大の500万円投資することができる期間になります。
ISA口座に、既に保有している上場株式等を入れることはできません。新たにISA口座で購入した上場株式等から得られる利益が非課税になります。また、ISA口座内では銘柄の入れ替えなどを行うこともできません。仮に購入した上場株式等が値上がりし、非課税期間が継続する5年を待たずに売却してしまった場合は、売却するまで得られた配当金、売却益などは非課税になりますが、売却した時点でその各年口座の非課税は終了ということになります。
日本版ISA口座に債券が入れられるかは検討課題
日本版ISA口座に入れることができるのは、上場株式、ETF、J-REIT(不動産投資信託)、公募株式投資信託などとなっています。当初、国債や社債などの債券も入れられるのではないかと噂されていましたが、債券の扱いは見送られました。ただ、平成28年(2016年)1月から債券の課税関係が大幅に変更になるため、課税関係が変更になる時点ではISA口座に入れることができると思われます。仮にISA口座に債券が入れられるようになれば、筆者は「マル優」制度の復活と睨んでいます。マル優制度と言われても大多数の人が知らないことだろう。マル優制度は1987年までは全国民が利用できる非課税貯蓄制度であったが、その後は満65歳以上の高齢者や身体障害者手帳の交付を受けている人、遺族基礎年金の受給者である妻などだけが対象となり、2003年からは満65歳以上の人も対象から外れ、それ以降は「障害者等の非課税貯蓄制度(現在も)」に変更されているからです。
ちなみに、1987年までは銀行預金等300万円、郵便貯金300万円、国債や公募地方債額面300万円の合計900万円までは、老若男女を問わず誰でも非課税貯蓄ができたのです。
マル優制度廃止後、全国民が使える非課税貯蓄制度は消滅しているが、日本版ISA口座は満20歳以上の人であればだれでも(厳密には年齢制限があるため誰でもではないが)利用できる制度なのです。当初は上場株式などの投資型商品しかISA口座を利用できないが、債券が入れられるようになれば元本保証の商品が入れられることになるのです。
たとえば、個人向け国債をISA口座に入れれば、個人向け国債から発生する利子は非課税で受け取ることが出来るようになるのです。平成24年12月募集、1月発行の変動10年(第48回債)の利率は0.48%。100万円購入した場合、税引き前の利子は4800円ですが、税引き後だと3840円になり、非課税になるだけで960円も手取り額が変わることになるのです。
金利が高くなればなるほど、20%の税金に有無が手取り額に大きく響いて来るのですから、将来、債券がISA口座に入れられるようになったならば、統計上多額の金融資産を保有する高齢者には朗報と言えるでしょう。もちろん、現役世代も預貯金だと非課税にならないが、債券なら非課税ということで、預貯金から債券への資金シフトが起きるかもしれませんが……。
ただ、債券への資金シフトだと、税制改正大綱に書かれている経済成長に必要な成長資金の供給を拡大することと思惑が外れることになりかねません。こちらの動向がどうなるかはチェックしていきたいものです。
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