チョコレートが大好きです。
美味しいチョコレートを色々食べたいがために、毎年パリで行われる見本市(サロン・デュ・ショコラ)に、ないお金を叩いて、いそいそと出かけてしまいます。そこで日頃の鬱憤を発散させるかのごとく大量のチョコレートと戯れ、しこたま手に入れた戦利品を抱えて、日本へ戻るなりチョコ好きな友人たちを集めてお披露目会を開く。やっぱりチョコレートって美味しいよねぇ、とみんなで悦に浸り、自分も納得することがライフワークとなっています。まったくもって自己満足。チョコホリックという言葉があるように、これはもはや病気といっても仕方ありません。

そんなわけで、チョコレートに関しては人一倍愛が強いため、お皿も気を遣って、それぞれチョコレートに似合いそうなものを選んでみたりします。特にボンボンショコラなどクラフト志向の高いショコラは丁寧に扱ってあげたい。小さなものだけど、ジュエリーのような繊細さがあると思うのです。チョコレートを手作りするのはなかなか大変な作業で、素材に気を遣い、温度に気を遣い、常に状態に目を配りながらの時間との戦い。ショコラティエさんが想像を巡らし技術を駆使し、苦心して作られたのだろうと思うと、食べる方も心して向かわなければ。だからチョコレートのある空間は、できるだけ楽しく可愛く、ウキウキするような演出にしたいと思います。これはチョコレートに合いそうだからねぇ、という言い訳で何枚も皿を買っていることがあるってことも否めませんが。
丁寧な手作りのボンボンショコラにはクラフト性の高い器

丁寧な手作りのボンボンショコラにはクラフト性の高い器

毎回定番で使っているのは、Astier de villatte(アスティエ・ド・ヴィラット) の小皿。ザ・王道ですが、やはりこれは間違いなく合うと思う。クラシカルなフォルム、アンティークな質感だけれど、パリのクリエイターによる新しいブランドであり、19世紀以前の手法を用いて、職人の手跡を大切に作られているそうです。同じ器でも、ひとつひとつ表情が微妙に違い、どこか温もりがあります。これに乗せるとショコラのクラフト感も引き立つ感じがします。そうそう、チョコレートというより、ショコラです。手作り感溢れるクラフトなショコラほど似合います。昔々に行ったパリのインテリア見本市メゾン・エ・オブジェで初めてアスティエの展示を見たときはまだブランド名も知らず、あまりのエレガントさと劇的な空間構成に、なんじゃこりゃー!!と衝撃的だったのですが、その数年後めでたく日本へやってきました。オルネドフォイユHP.DECOなどで買うことができます。

手前の金属の器は、鎌田奈穂さん。金工家・長谷川竹次郎氏の元で学んだ、まだ若い作家さんです。繊細でシンプル、古道具のような雰囲気もあり、控えめで凛とした空気を持つ鎌田さんの人柄が現れたような器です。ショコラの精巧さと共通するような匂いを持っています。

老舗のショコラには時代を感じさせるアンテイークを

老舗のショコラには時代を感じさせるアンテイークを

アンティーク皿を使うこともあります。グラス、陶器ともフランスのアンティーク。以前、大江戸骨董市、Lino Homeworks等で入手しました。楕円形はひとつあるとテーブルにリズムが出るので重宝します。老舗のチョコレート屋さんのものは、作りもややプリミティブだったりして、古い器が似合うように思います。グラスにはちょっと遊びで、ソーテルヌに浸したブドウをショコラコーティングした、というお酒に合うチョコレートを入れてみました。

ちなみにお皿の上のショコラは、1800年創業のパリで最古のショコラトリー、Debauve et Gallais(ドゥボーヴ・エ・ガレ) のもの。チョコレートはマヤやアステカの時代から愛され、ヨーロッパへ渡ったのは大航海時代。当時は修道院などで薬として扱われ、王様や貴族しか手にすることができませんでした。フランス革命後、徐々に一般市民にも広まり、産業革命によってイギリスで板チョコレートが発明されました。ドゥボーヴ・エ・ガレのショコラは、ナポレオンが遠征に持ち出したり、マリー・アントワネットが苦い薬と一緒に食べた、といわれるようなレシピが受け継がれていて、興味深いエピソードに心掴まれます。チョコレートの壮大な歴史を思いながら、古い器で老舗のチョコレートを頂くのも、なかなかロマンチックかなと思います。

タブレットはシンプルに素材を引き立たせる

タブレットはシンプルに素材を引き立たせる

タブレット(板チョコレート)には、ソリッドな四角い器を使います。白い器は陶芸家・岡田直人さんのプレート。岡田さんの白は、優しさと温かみを備えつつ、クールな静けさがあり、チョコレートの素材感を引き立ててくれるように思います。
木の器は西本良太さん。家具からジュエリーまで何でも作ってしまう多彩な作家さんですが、シンプルながらアート的な視点のものが多く、グラフィカルな面白さのある器です。これに乗せると木の素材感がカカオの産地を思わせ、チョコレートの原料に目を向けさせてくれるように思います。

チョコレートは、左がMonsieur Chocolat(ムッシュウ・ショコラ)。パリにある、日本人とフランス人のご夫婦ショコラティエです。以前ここでカカオの豆が丸ごとそのまま入ったタブレットを食べていたく感動したのですが、今回買ったのはナッツやフルーツ、フルール・ド・セルの入った、カラフルで華やかな印象のチョコレートでした。

右はEmily's Chocolate(エミリーズチョコレート)。カカオの焙煎も自ら手掛ける、日本ではまだ数少ないクラフト志向のチョコレート屋さんです。主にカカオそのものの素材感を際立たせるシングルオリジンのチョコレートを作っています。


和素材のショコラに和骨董を合わせてみた

和素材のショコラに和骨董を合わせてみたり

ここ数年は日本のショコラティエが注目を浴びています。フランスの品評会で2年連続の最高評価を獲得したes koyama(エスコヤマ)の小山進さん等、日本人が大いに活躍しています。フランスでも日本の素材を使うことがメジャーとなりつつあり、抹茶、柚子などはフランス人ショコラティエでも普通に使っている人が増えました。和素材のショコラには、和の器、というのも面白いかなと思います。京都の骨董屋で見つけた、賑やかな模様の色絵皿などを使ってみたり。左の小皿は1800年代と言われました。右は明治時代のもの。チョコレート自体はシンプルなので、シックな華やぎ感を出せるように思います。外国人にも好まれそうなサプライズな楽しさがあります。

写真のボンボンショコラはes koyamaのものをのせてみました。ちなみに昨年食べて感動したのは大徳寺納豆のショコラ。キャラメルサレのような甘じょっぱい感じはフランス人の味覚にも合ったのでしょうか。日本人ならではのうま味を存分に感じるショコラでした。そして今年はふきのとう、日本酒(大吟醸酒と酒粕の2層構造ガナッシュ)、忍者とネーミングされた桜のチップでスモークしたショコラなどなど、斬新で捻りのある、遊びの効いた素材合せながら、嬉しい驚きを伴った新しい発見と、じっくり噛み締めたいような深い奥行きを持った味わいがあり、日本素材がもたらす多様な可能性に改めて気づき、ますます夢が広がります。(はた!ついチョコレートについて暑苦しく語ってしまった・・・)。

こんな風に合わせてみることは、ある意味自己満足な偏りが存分にありますが、とりあえずチョコレートがあるとテンション上がって必要以上に楽しみたくなる性分なので仕方ありません。バレンタインが近づくと、あちこちで色んな新作チョコレートが販売され、どうしても気持ちがそわそわしてきます。愛の告白とか、日頃の感謝とかどうでもよくなって、とにかく美味しいチョコレートをゲットしたい一心でチョコレート売り場にウロウロと足繁く通ってしまう・・・そんな人たちは意外と多いんではないでしょうか?手に入れた色々なチョコレートは、自分でじっくり味わっても、好きな人にあげても、みんなで仲良く食べても、とにかく思い切り楽しみたくなる、特別な気分にさせるお菓子なんだと思います。チョコレートって、色やかたちはストイックですが、だからこそお皿合せのバリエーションにも無限の(やや自分本位な)楽しさがあるように思います。


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