東京駅そっくりの赤レンガ駅舎~深谷駅(JR高崎線、埼玉県)
2012年10月1日にリニューアルオープンした東京駅丸の内駅舎。それとそっくりの駅舎がJRにあると言うと驚く人が多いだろう。上野から高崎駅の中距離電車に乗って1時間20分。深谷で降りると、ホーム上に堂々たる赤レンガ風駅舎が聳えている。深谷が赤レンガ駅舎にしたのには理由がある。明治期に活躍した深谷出身の実業家、渋沢栄一が地元に日本最初のレンガ工場を造り、東京駅をはじめとする建物を造るのに赤煉瓦を供給したのだ。今では赤煉瓦工場はなくなってしまったが、1996年に深谷駅をリニューアルするときに、往時を偲び「レンガの町」のシンボルとして赤煉瓦風駅舎にしたという。
東京駅と違って、橋上駅舎として線路を跨いで造られているため、強度の問題から完全な赤煉瓦駅舎には出来なかった。それで赤煉瓦風のタイルを張って見た目だけの煉瓦造りにしたという。「レンガの町」を表すため、駅舎のみならず、駅前の他の建物や、公園、橋の欄干、自動販売機にまで赤煉瓦風デザインを施すなど徹底している。
深谷駅は、昭和の時代に、地元出身の大物政治家が政治力で急行列車を停車したとして、話題になったことがあった。その影響か、今は、特急「草津」「あかぎ」が停車し、上野から1時間と利便性がよい。駅舎見物にぜひ訪れてみたい。