Kindleがもたらしたセルフパブリッシングブーム

2012年10月25日、Amazonは日本でのKindleストア開始とともに、著者等が自己出版(セルフパブリッシング)できるKindle ダイレクト・パブリッシングを開始しました。

これにより、多くのユーザーがKindle向けに自己出版を始めています。また、セルフパブリッシングが可能なサービスが続々と誕生しています。 等がありますが、セルフパブリッシングで出版された方のブログやツイートを見ていても売れているという話は聞きません。

セルフパブリッシングは著者にとって、紙の本より良いのか?

Kindle Directパブリッシングは著者ロイヤリティとして35%と70%を選べるようになっていますが、70%の場合は販売できる価格の幅が狭くなっています(詳しくはこちら)。

70%のロイヤリティを選んだ場合、Amazonが販売にかける通信料をロイヤリティの中から引かれるので、実質50%程度になるようです。紙の本の出版印税が10%程度、最近は10%にいかないという話が聞こえてきている中で、とても魅力的なロイヤリティに見えます。

例えば800円の紙の本を初版3000部出した場合、著者ロイヤリティは24万円になります。同じ本をKindle Directパブリッシングで800円で売りだした場合、どうされているのでしょうか? 紙の本で800円であるならば電子書籍はもっと安くていいのでは無いか、と思っていませんか?

半額の400円に値下げして売りだした場合、24万円の収入を得るには、ロイヤリティ50%と計算して1200ダウンロード分、ロイヤリティ35%の場合、1715ダウンロード分、販売できないと到達しません。

紙の本は初版を発刊した段階である程度まとまったロイヤリティという契約ができますが、電子書籍の場合は実売に対するロイヤリティになるため、数ヶ月間全く売れなければ、著者にはロイヤリティが入って来ません。

読者不在のセルフパブリッシング

Kindleが日本でサービスを開始してまだ数ヶ月ですが、Kindleのサービスを利用できる絶対数としてのユーザー数がそれほど多くない状況で、有名な著者以外はほとんど売れていないという話が聞こえてきます。

紙の本と電子書籍を併売している場合は、出版社というフィルタで品質が担保されている点や、Amazonなどのレビューで評価が確認できる点である意味安心して購入できます。一方、活動の舞台が電子書籍のみの、無名な著者によるセルフパブリッシングの作品に対する心理的ハードルが読者にはあるようです。

KindleのDirectパブリッシングやその他のセルフパブリッシングサービスの登場で、魅力的なロイヤリティで簡単に電子書籍を出版できるようになりましたが、書き手が「これ書いたら面白いんじゃないか?」と思ってセルフパブリッシングを行い、コンテンツが多数出版されても、それを読む読者がまだまだ少ない状況です。つまり電子書籍の供給過剰状態です。

今後、各電子書籍サービスの普及とともにユーザー数が増えてこの供給過剰問題は解消すると思います。しかし、魅力的なロイヤリティや、簡易な出版方法で電子書籍を出版しても、ダウンロードされるかは今の電子書籍ユーザー数ではなかなか厳しいと思うのがガイドの見解です。

読み手をいかに増やしていくか?という点で、セルフパブリッシングを行う各電子書籍書店の戦略に注目していきたいと思います。


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