復興特別所得税スタートで利子や分配金も受取額が減る
2013年からの増税ラッシュに注意を
「1月1日からは、東日本大震災の被災者救援の財源を確保する目的で、復興特別所得税が導入されます。所得税額の2.1%と増税額はそれほど大きくはないものの、平成49年(2037年)まで25年間続きます」(深野さん)
現在35歳の人の場合、60歳まで増税期間が続くことから、ほぼ恒久的な増税と言えるかもしれません。しかも対象になるのは、給料から差し引かれる源泉徴収税だけではありません。
「預貯金や債券の利子や、株式などの売却益や配当、FXの為替差益なども所得税の部分に2.1%課税されます」
仮に、1000万円を年利0.025%の定期預金に1年間預けたとしましょう。2012円末までは、税引後の利息は2000円でした。ところが、2013年1月からは1992円になる計算です。
「1月からは退職所得に対する住民税の10%控除が廃止されます。また、給与所得控除の上限も245万円に引き下げられ、年収で1500万円を超える人は給与所得控除の恩恵が一定額までと制限が課されるのです」
4月からは自営業者などが加入する国民年金保険料が原則280円上がり、10月からは厚生年金保険料も年0.354%(労使折半)上がります。ちなみに、国民年金保険料と厚生年金保険料の値上げは2017年度まで続くことになっています。
加えて、4月1日からは新規契約分の生命保険料もアップ。「学資保険などは貯蓄性の高い商品は魅力がさらに低下する」ことになりそうです。
2013年末には証券優遇税制も打ち切られ、上場株式などの配当所得や譲渡所得の税率が10%から本来の20%(復興特別税を含めて20・315%)に戻る予定です。
なお、2013年末で期限が切れる住宅ローン減税は、3年程度延長される見通しに。
「減税額も現行の200万円(2013年分)から300~500万円に引き上げる見込みです」
2014年4月からは消費税増税も
2014年1月からは復興特別住民税も導入されます。「住民税の均等割部分が、都道府県民税で500円、市町村民税で500円、あわせて年1000円増税されます。増税期間は2023年(平成35年)までの10年間となっています」
そして、2014年4月には、家計への大打撃となる消費税増税も控えています。
「同時に、70歳から75歳未満の高齢者健康保険料の引き上げも予定されています。具体的には、現在1割の自己負担額が2割に上がる予定です。(2年延長)そのうえ、年金受給額も2013年10月に1%、2014年4月に1%、2015年4月に0.5%と合計で2.5%減額される見込みです。高齢の両親と同居している家庭では、消費税増税、高齢者健康保険料増加、年金受給額減額というトリプルパンチを食らうことになりそうです」
2015年10月からは、消費税が10%まで引き上げられます。安倍晋三政権の誕生で、増税の時期は景気動向を見極めたうえで判断するという方向に進みつつあるものの、いずれ増税されることは確か。今から備えをする必要があることに変わりはありません。
次ページは、実施時期が未確定の増税&負担増の解説です
監修/深野康彦(ファイナンシャル・プランナー) 取材・文/大山弘子
イラスト/竹松勇二 デザイン/引間良基