ざっと計算しても254万円おトク?
仮に確定拠出年金がなくて、毎月1万円を38年間(22歳から60歳まで)積み立てたとします。所得税や住民税が20%引かれたとすれば、38年後に積み立てられた元本は364万8000円です。さらに38年の間、年3%の運用益(手数料等控除後)があったものの、運用益からも20%税金が引かれたとすると、最終受取額は594万8000円になります。これがもし確定拠出年金を利用していればどうなるでしょう。まず、毎月の1万円は税金を引かれませんので、元本そのものが456万円貯まります。この時点で20%の差がつきました。さらに年3%の運用益はそのまま3%手元に残りますので、最終的な受取額は848万9000円まで成長します。なんと課税された場合との差は254万円、割合にして30%も差がつきます。
この差は運用の成績の差でもなければ、毎月の積立額の差でもありません。単に「確定拠出年金の税制メリット」を使ったかどうかの差なのです。
いかに税制メリットが大きいかが分かります。使わないともったいないと思いませんか?
税制優遇を意識した活用をしてみよう
もし、確定拠出年金の税制優遇をフル活用してみようと思ったら、どうすればいいでしょうか。ひとつは「少しでも多く積み立てる」ということです。ただし、毎月の限度額があるほか、60歳まで解約は原則禁止ということを注意して活用する必要があります。また、会社しか掛金を出していない場合、金額を増やすことは任意にはできません。
2つ目の活用ポイントは「利回りの高い商品を組み入れる」ということです。せっかく利息や運用益に課税されないわけですから、0.3%の利回りの商品を使うようり、3%の利回りの商品を使ったほうがいいわけです。それぞれ税金が20%引かれたとすれば0.06%、0.6%になりますから、税金を引かれないためには後者の商品を確定拠出年金内で選択したほうがいい、ということになります。
高い利回りの商品としては投資信託等があります。こうした商品は値動きがありますので活用に注意が必要なものの、普通に銀行や証券会社へ行って購入するより、確定拠出年金内で買ったほうが有利なことは明らかです。
簡単に例えると「手元で100万円投資信託、確定拠出年金で100万円定期預金」よりは「手元で100万円定期預金、確定拠出年金で100万円投資信託」の方が最終的なリターンは高くなります。
自分なりに「手元のお金の運用」と「確定拠出年金のお金の運用」を一体管理する方法を考えてみてください。
以上、確定拠出年金の税制優遇について説明しました。確定拠出年金に加入しているという人は、自分のお金の効率的な管理方法について考えてみてください。
【関連情報】
・ 401k(確定拠出年金)の基礎を学ぼう
・ 401k企業型の運用のポイント