鉄道/エリア別の鉄道旅行

首都圏の小さな鉄道めぐり(2ページ目)

首都圏の鉄道というと、昼間でも10両以上の長大編成の列車が頻繁に走る路線というイメージがある。ところが、中には短い編成の列車が単線の線路をのんびり走っている地方のローカル線と大差ない路線が存在する。ここでは、そうしたエアポケットのような「意外な」小さな鉄道を訪ねてみたい。首都圏在住の人なら、時間も運賃も大してかけずに乗りに行くことが出来るだろう。ちょっとした散策におススメの手頃な路線でもある。

野田 隆

野田 隆

鉄道 ガイド

名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL・D51を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、「ヨーロッパ鉄道と音楽の旅」を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。

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昭和レトロの味わいがある流山線

青空号

流山線の「青空」号

流鉄馬橋駅

常磐線に遠慮するような流鉄馬橋駅

金町からJR常磐線各駅停車(地下鉄千代田線直通電車)の我孫子行きに乗って10分たらずで馬橋(千葉県松戸市)に着く。跨線橋を渡って流山線専用のホームに向かう。かつては、総武流山電鉄と言ったが、2008年に改名されて社名は流鉄株式会社、路線名は流山線となった。首都圏の鉄道では、Suica、PASMOというICカードが普及して、自動改札が当たり前となったが、流山線には、そうした設備はなく、券売機で切符を買って乗る。駅員はいるけれど、切符にはさみを入れることはない。硬券入場券を売っているので、買っておくと記念になる。

 

流山線「菜の花号」

流山線「菜の花号」

2両編成の電車は、元西武の車両。編成毎に塗装が異なりカラフルだ。さらに編成毎に「流星」「若葉」といった愛称が付けられ車両に表示されているのがユニークだ。

発車するとガタゴト走りだす。馬橋まで乗ってきた常磐線とはスピード感も違うし、乗り心地も異なる。懐かしさが漂う雰囲気で、のんびりしてホッとする。

 

沿線は住宅地が多いけれど、雑木林や小川の脇を通過して、気分を和ませる。単線で、途中駅は4つ。小金城趾駅でのみ対向列車とすれ違う。終点の流山まで12分のミニトリップだ。
流山線の車両はカラフルだ

流山線の車両はカラフルだ


流山駅

趣のある流山駅

流山駅の脇には小さな車両基地があり、カラフルな電車が休んでいる。改札では駅員が切符を回収。こんな風景は、もう他の路線では見られない。

ビルのような堂々とした近代的な建物ではなく、赤茶色の屋根の小さな駅舎は趣があり、関東の駅百選に選ばれている。遠くへ来てしまったように感じる。

 

駅周辺には、新撰組で有名な近藤勇の陣屋跡や一茶双樹記念館、神社仏閣等の観光名所もあるし、江戸川河川敷も近い。のんびり散策してみたい。

新撰組ゆかりの流山

新撰組ゆかりの流山

流山は、明治期に常磐線が建設されたときに沿線から外れてしまい、それまで江戸川の水運で栄えた町が寂れてしまった。危機感を抱いた町民がお金を出し合って常磐線馬橋まで接続するために造ったのが、この流鉄線であり、それだけに町にとっては愛着のある鉄道なのだ。しかし、最近では流山市内をつくばエクスプレスが通るようになり、流鉄線は苦しい経営を強いられている。応援するためにも、首都圏に住んでいる人は、一度は乗りにいってみよう。

 

■流鉄線
馬橋~流山、片道190円
11時~14時は20分毎、その他の時間帯は15分毎、朝は13分毎。公式サイトや一日乗車券はない。
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