低迷する投手陣を立て直すべく、藤川に白羽の矢を立てたシカゴ・カブス
来季の藤川球児が、シカゴ・カブスの守護神になる可能性は非常に高い
背番号「11」というのも期待の表れだが、プロはやっぱりお金が尺度となる。海を渡った阪神の守護神に、次のような破格の値段が付けられた。契約金が100万ドル(約8200万円)、年俸は400万ドル(約3億2800万円)で、2年契約のため、800万ドル(約6億5600万円)となる。3年目は一定の出場試合数をクリアすれば自動的に1年延長するシステムとなっていて、その年俸は600万ドル(約4億9200万円)。さらに出来高が1年につき最大200万ドル(約1億6400万円)付いていて、満額をクリアした場合、3年2100万ドル(約17億2200万円)の超大型契約となった。横浜からマリナーズへ移籍した大魔神こと佐々木主浩投手の初年度の契約が3年1200万ドルだったことを思えば、評価の高さがわかるというものだ。
この大型契約の背景には、落ち込んでいるチーム事情がある。カブスは今季、61勝101敗と大きく負け越し、チーム防御率は4.51、なかでもチームのセーブ数は全体で「28」しかなく、メジャー30球団でワーストだった。リーグ優勝16度を誇る古豪が3年連続で勝率5割を割った最大要因は、間違いなく投手陣の低迷であり、復活をかけて、日本通算220セーブの藤川に白羽の矢を立てたのである。
藤川獲得を主導したのは、エプスタイン編成本部長だ。同本部長はレッドソックスのGMとして2004年に86年ぶりのワールドシリーズ制覇を果たし、2007年には巨額を投じて松坂、岡島らを補強して再びチームを世界一に導いた。日本人投手にはかねてから強い興味を持っていて、レ軍時代の2008年の開幕前に阪神とオープン戦で対戦、九回を無安打2三振と完璧な投球を披露した藤川をずっと調査してきた。だからこそ、カブスに迎えられた今季、いの一番に藤川獲得に動いたのだ。
「(エプスタイン)編成本部長と(ホイヤー)GMの熱意を感じた。チームの順位を上げるんだ、建て直すために必要だ、と言ってもらえた」と藤川も意気に感じている。当初はセットアッパーとしての起用が濃厚だが、遠からぬ将来にカブスの守護神になるのは間違いなく、古豪復活に大きな役割を任せられることになる。