自己責任とはいえ401kはカットされない
日本版401k、すなわち確定拠出年金の場合、自己責任で運用しなければならないため、会社員に厳しい制度と理解されていますが、こうした「後付けでのカット」には強いところがあります。確定拠出年金にすでに積み立てられたお金は個人のものとして認識され、外部保全されるため、会社の都合や金融機関の都合、国の思惑によって引き下げることは絶対にできないからです。自己都合で辞めてもカットされません(入社3年未満での退社のみカットされうる)。
中小企業の退職金・企業年金問題は悩ましいことが多いのですが、私はもっと確定拠出年金を普及させるべきではないかと思います。
確定拠出年金の運用は、定期預金等を軸に部分的に投資信託を購入すれば年10%以上のマイナスはほとんどありません。堅実な資産運用は、個人の選択と少々の投資教育によって十分に実現可能です。
もともと確定拠出年金を実施している企業の8割は中小企業、特に100名未満の企業の多いことが特徴ですが、もっと普及してもいいと思います。
中小企業の会社員は賃金・雇用だけでなく退職金にも目配りを
中小企業で働く会社員は目の前の仕事も忙しく、また賃金の不安や雇用の不安も大きいものがあります。私も昔は中小企業(むしろベンチャーに近い)にいた時期があり、その厳しさは理解できます。しかし、退職金にまで目を向けておかないと、今後十分な金額が保全されていない、ということが起こりそうです。もともと年収も低めで退職金額も大きくない中小企業にとって、その金額をさらに削ることは老後への影響が大きすぎます。
国が現状以上に中小企業の退職金・企業年金制度を支援しようとすれば、「元本は保証するけど、それ以上は運用実績次第」と割り切るか、「何らかの補助金をつけて制度を支援する」しかありません。後者はなかなか難しいでしょう。やはり現状では確定拠出がこれに近い外部保全システムといえるかもしれません。
外部積立を前提としつつ、できるだけとりっぱぐれのない制度を選んでいくために、今後のニュースや議論に注目したいところです。