小説全体の構造を意識して書かれている名作

はじめて読んだときに、徹夜したような記憶があります。
芥川なんかが、言葉の選定のひとつひとつに非常に腐心して、化学者がピンセットで触媒なんかを試験するような文体なのに対し、三島は(もちろんそういう言葉選びの繊細さは彼にもありますが)もっと小説全体の構造を意識して書いているように思われます。
構築美の異常に優れた小説です。

名作中の名作なので、読まれた方も多いかもしれませんが、芥川的な、言葉そのものに注視する文章というのが日本の文学には割に多くて、全体的な構造がきれいにできている小説は少ないように個人的には思います。
ので、はじめて読んだときに、新鮮で、一気に読んだのでしょう。

それを象徴するのが「南泉斬猫」の講話(文中に出てきます)ですが、これをいかにもうまく使って、全体の構造をしっかりしたものにしています。
文章全体の構造を意識していないとできないことです。

ネタバレしないように書くのはなんとも歯痒いですが、はじめて読んだときはそれこそ、特に先の講話から意識が反転する(これくらいに留めておきますが)ストーリー展開に鳥肌がたちました。

古い小説なので、若干読みづらさもあるかと思いますが、お勧めしたいです。

■金閣寺
著者名:三島由紀夫
版元:新潮文庫など
購入可能場所:全国の書店やAmazonなど

※データは記事公開時点のものです。


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