貯まらない要因は、テクニックかマインドか
どう貯めればいいのか。貯められない人にとっては、永遠の課題でしょうが、ポイントは実にシンプルだと、ファイナンシャル・プランナーの八ツ井慶子さんはアドバイスします。「積立貯蓄をしているかどうか。これに尽きます。その積立も、給与天引きや口座引き落としの、いわゆる先取り貯蓄。このしくみを生活の中にキッチリ組み込み、残った中でやりくりしていけば自然と貯まります。余ったら通帳に入れるという生活を1日も早く卒業しましょう」
積立貯蓄の種類はいろいろ。勤務先に財形貯蓄や社内預金の制度があればそれを利用してもいいし、給与が振り込まれる銀行口座から自動引き落としの定期預金を活用してもいい(図参照)。また、少しでも金利で得をしたいなら、ネット銀行が比較的金利が高め。金融機関のキャンペーン金利を利用するのもいい方法です。
また、投資で増やそうと考えている人もいるでしょうが、30代の貯蓄は今後のライフプランを形成する大事な原資。大きくリスクは取るのは避けたいところ。まとまった金額になるまで(30代前半で300万円、後半なら600万円)は、元本保証の金融商品を中心に増やすといいでしょう。
しかし、先取りしても上手くいかないという家庭もあるはず。その解決策としては、テクニックとマインドがあると八ツ井さんは指摘します。
「テクニックとは保険の見直しやローンの繰上返済、借り換え。通信費ならキャリアやプランの変更など。支出を抑える方法を知らなかっただけですから、比較的簡単に貯蓄率はアップします。家計管理はできているのに、なぜか貯まらない人に多いパターンですね。一方、そう簡単ではないのがマインド。先に示しました、貯まらない家庭の事例もすべてマインドが原因です。つまり、気持ちや考え。これを変えていかないと、楽しいことやものの誘惑に負けしてしまう。貯蓄の目標を作り、それをモチベーションにして、徐々に貯蓄体質にしていくしかありません」
30代で貯蓄のあるなしは、その後の人生に深く影響します。家計を管理し、その結果得た貯蓄ならば、ライフプランにも心にも余裕を生む。そして、その先にはきっと、自力でつかんだ自分たちらしい「幸福」が待っているはずです。貯められないと嘆くあなた、さあ、今日から早速「貯めるための行動」を始めましょう。
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取材・文/清水京武 監修/八ツ井慶子(ファイナンシャル・プランナー)
イラスト/竹松勇二 パネルデザイン/引間良基