相続・相続税/遺言書の書き方

遺言があっても遺産分割協議はできるのか?(2ページ目)

被相続人が死亡し、遺言がある場合には、遺言の内容に従って遺産を分けます。遺言がない場合には、相続人全員で遺産分割に関する「協議」を行ない、取得者を決めます。では、遺言はあるがその通りにしたくない場合はどうなるのでしょうか? 確認しておきましょう。

執筆者:加藤 昌男

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どうして分割協議にしたいのか?

遺産分割協議は被相続人の意思に反するのか?

遺産分割協議は被相続人の意思に反するのか?

相続人全員が分割協議にしたい理由は、遺言の内容では、何か不都合なことがあるためです。

遺言の多くは、特定の相続人に多めに財産を相続させることを目的として作成されています。遺言でもらう財産が少ない人は、遺産分割でもっともらいたいと思うでしょう。しかし、もらう財産が多い人で少なくなってもいいという人は、少ないと思います。従って、相続人全員の合意とは、取得財産の割合を変えることではなく、取得する財産を変えることです。

例えば、「遺言で不動産をもらった人が金銭にしてもらいたい」、他方「不動産は全部自分にして金銭(代償金)を払うようにしたい」などです。

その他こんな理由が挙げられます
・相続税の計算上(小規模宅地等の特例、相続税額の加算など)不利になる場合
・相続財産を売却したときの譲渡税が不利になる場合
・2次相続の対策上、不利になる場合
・相続後の資金繰り、所得税等で不利になる  など

被相続人の意思に反するのか?

遺言通りに分割しないことは、被相続人の意思に反するのでしょうか? そのようなことはないと思います。そもそも、被相続人はこのような不都合は想定していなかったであろうと思われます。また、取得財産の割合を変えることでもありません。従って、遺言でなく遺産分割に関する協議によって分割することは、被相続人の意思に背くことではなく、被相続人の意思を尊重し、家を守っていくことだと言えるでしょう。


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