相続・相続税/遺言書の書き方

遺言で相続権がない人に財産を渡したい場合の文例

相続権がない亡き長男の妻に財産を渡したい場合の、遺言の文例をご紹介しましょう。

執筆者:加藤 昌男

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背景

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遺言で相続人以外の人に財産を渡すには

吉田巌さん(85歳、仮名)は、亡き長男の妻、恵子さんと孫2人(朋子さん、由美子さん)の3人で暮らしています。巌さんは、日頃世話になっている恵子さんに、自宅を相続させたいと考えています。

巌さんには、もう1人の子・二男の次郎さんがいます。次郎さんには、次郎さんの自宅の敷地を相続させたいと考えています。
 

吉田巌さんの遺言文例

遺言書
第1条  遺言者は、遺言者の有する下記の財産を亡き長男吉田太郎の妻吉田恵子(昭和30年3月3日生まれ)に遺贈する
(1)土地
所在 東京都世田谷区世田谷5丁目
地番 1234-1
地目 宅地
地積 150.36平米

(2)建物
所在 東京都世田谷区世田谷5丁目1234-1
家屋番号 1234-1
種類  居宅
構造 木造
床面積 95.58平米

(3)預貯金
三菱東京UFJ銀行 世田谷支店に対する遺言者名義の預金債権全部

第2条  遺言者は、遺言者の有する次の土地を次男吉田二郎に相続させる。
所在 東京都杉並区高円寺北6丁目
地番 954-1
地目 宅地
地積 100.68平米

第3条  遺言者は、遺言者の有する下記の財産を孫吉田朋子及び孫吉田由美子に各2分の1の割合で相続させる。
三井住友銀行 世田谷支店に対する遺言者名義の預金債権全部

第4条  遺言者は、この遺言の執行者として、前記吉田恵子を指定する。

<付言>
この遺言を作成した趣旨について述べておきます。
1. 現在、亡き太郎の家族と同居していて、特に恵子さんには、大変世話になっています。私を病院に連れて行ってくれたり大変感謝しています。孫達は、いずれ嫁に行くと思われ、私は、恵子さんに面倒を看てもらいたいと思っています。感謝の気持ちで自宅と預金の一部を恵子さんに渡したいと思っています。
2. 次郎には、いつも気を遣ってもらい大変感謝しています。お父さんの生活環境を理解してもらえると有難いと思います。できれば、恵子さんを支えてくれると有難いと思います。

平成24年7月26日
住所 東京都世田谷区世田谷5丁目5番5号
遺言者 吉田巌 印

相続人以外の人に財産を渡す場合の注意点

相続人以外の人に財産を渡す場合の注意点は下記の通りです。

  1. 「相続させる」ではなく「遺贈する」と書く
  2. 「付言事項」に、相続人以外の人に財産を渡す理由を書いておく
  3. 遺言執行者の指定をしておく 遺言執行人が指定されているとスムーズに名義変更ができる
  4. 全くの他人に遺贈する場合には、住所又は本籍地を加えて特定できるようにする

自筆証書遺言の要件

自筆証書遺言の要件は下記の通りです。いずれが欠けても無効になってしまいます。

  1. 全文を自筆で書く
  2. 日付(「吉日」は不可)を書く
  3. 名前を書く
  4. 押印(できれば実印で)

自筆証書遺言では、要件を満たしていないために無効になってしまうものが少なくありません。できれば、公正証書遺言にしておくことをお勧めします。


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