株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

中国版モバゲーを運営する網龍に大注目!(2ページ目)

網龍(ネットドラゴン)は中国の小規模オンラインゲーム企業ですが、スマートフォン向けアプリの販売サイト(アプリストア)で非常に認知度が高く、今後爆発が期待できる中国モバイルゲーム市場で大きな強味を持っている企業です。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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DeNAと合弁会社設立

網龍の有名なゲーム「魔域」

網龍の有名ゲーム「魔域」

網龍は成長の軸足をパソコンのゲームからスマートフォンへと移しつつあります。そしてこのモバイル分野ではまだ圧倒的なプレイヤーが中国に見当たりません。

日本の携帯・スマホのゲームと言えば、グリーと並んでDeNAのモバゲーが有名です。そしてDeNAと網龍は、2012年1月に合弁会社設立(網龍が51%の株式を保有し、支配権を持つ)を発表し、中国版「モバゲー」を共同で開発運営していく計画です。新会社では、DeNAグループがこれまで開発した自社ゲームや、世界各国のゲーム開発会社の作品を中国語版で展開することとなります。

DeNAにとっては、すでに日本の携帯ゲーム市場は飽和に近く、コンプガチャ問題で規制も強まる中、これまで同様に日本で高成長を続けることは難しいのではないかと思います。すでにグリーとDeNAの2社で年間3千億円ほども売上げており、国民の4人に1人が1万円を両社に携帯ゲーム代として払っていることになります。今後は5億人のインターネット人口を持つ中国で、日本でここ5年ほどの間に急成長してきた携帯ゲームを横展開すべく、網龍と提携をしました。パートナーとして網龍を選んだ理由は、同社がスマートフォン向けアプリケーションの販売サイト(アプリストア)で非常に認知度が高く、強みを持っているからでしょう。一方、網龍にすれば、日本で成功体験を持つDeNAのモバイルゲームの開発、運営ノウハウが手に入ります。この合弁会社設立により、DeNAや世界の高品質なモバイルゲームコンテンツが手に入ります。パソコンのオンラインゲームではテンセントやネットイーズに勝てなかったコンテンツにおいて、DeNA経由で強力なソフトが手に入ることになります。

スマホブームでモバイル事業に期待

現在のスマホブームは3年前には想像できなかったものでしょう。グーグルですら、数年前に、現在のようなアプリストアから多種多様なアプリが配信される日がすぐに来るとは夢にも思わなかったと言っているほどで、様々なグーグルのサービスが全面見直しを強いられています。そしてインターネット人口が5億人を超え、今なお年に5千万人以上増えている中国では、モバイルやスマホ向けコンテンツにおいて日本より数年遅れている状況と思います。数年遅れていますが、市場規模は日本の数倍上です。

DeNAですら、2004年前半まではモバイル事業部という存在自体なく、携帯通信からの売上高はゼロでした。この当時、ゼロからモバオクやモバゲータウンを立ち上げた際に、数年後にそれが売上高千数百億円を生み出すことになろうとは、想定外だったと思います。DeNAは発足当初からオークションサイトであるeコマース事業を続けていますが、実はこの売上高は殆ど増えていません。劇的に増えているのはソーシャルメディアと呼ばれる部門であり、その9割はモバイルゲームからの収益です。この部門は2005年あたりから収益化してきて、あっという間にeコマース事業を超えましたが、スマホという言葉が出だした2010年頃からは激増しました。

網龍の売上高の9割以上は、以前からあるパソコンのオンラインゲームです。まだモバイルインターネット部門は全社売上げの8%もありませんが、前期はその前の期に比べて8.9倍増と躍進しています。ただ、まだ十分な規模に達しておらず、モバイル部門は赤字です。モバイルインターネット業務の内訳は以下のようになります。

□モバイルインターネット業務部門
部門業務構成  売上構成比
広告          65%
携帯ゲーム     25%
アプリケーション  10%

まだ本当の初期の段階で、何がどうなるとも言えない段階です。ただ急成長しており、同社の「91手機助手」というアプリストアは中国3位(一位はアップルストア)であり、非常に良く知られています。また別の「安卓市場」というアプリストアもあり、こちらはアンドロイド搭載のスマホから多くのダウンロードがあります。このような優位性あるモバイル向けプラットフォームを持つ同社に対し、海外進出を加速するDeNAが本気でコンテンツやノウハウを提供すれば、流通網とソフト(コンテンツ)が合致し、まだ浅いこの市場で急成長できる可能性を秘めていると思います。鍵は携帯ゲームにあると思います。前述しましたが、この分野ではまだ中国には核たるプレイヤーが見当たらず、同社の将来の成長性を強く感じるところであります。

参考:中国株通信
※こちらの記事は中国株通信を参考にして記載しております。中国株通信では同社の財務内容の分析から、現状の株価水準などを加味しての最終的な総合評価までをご紹介しておりますので、是非、一緒にご参考にしていただければと思います。
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