中国のオンラインゲーム開発運営会社、網龍
網龍(ネットドラゴン、香港市場上場:00777)はオンラインゲームの開発、運営会社です。1996年に福建省福州にて設立、2007年11月に香港のGEMに上場、そして2008年6月にメインボードに鞍替えしています。パソコンのオンラインゲームでは、圧倒的な集客基盤を持つテンセント(香港市場上場:00700)やネットイーズ(NTES、米ナスダック上場)に大きく劣ります。しかし、2008年からモバイルインターネット業務に進出し始め、活路を見出そうとしています。モバイルインターネット分野では専門性のあるプログラム開発、クリップアートと運営チームを保有します。SNSオープンプラットフォーム、携帯管理ツール、安卓網などを運営するほか、「91手機助手」という同社のスマートフォンユーザー向け管理ツールは人気です。
規模は小型だが、業績は急激に拡大中
□2011年決算2011年実績 前年比
売上 7.6億元 +43.1%
純利益 1.5億元 +286.7%
粗利益率 90.1% +2.6ポイント
純利益率 17.8% +11.2ポイント
□2012年第1四半期
実績 前年同期比
売上 2.4億元 +51.2%
純利益 5577万元 +61.0%
□業務構成
売上構成比 売上成長率
オンラインゲーム 92.2% +31.9%
モバイルインターネット 7.8% +792.6%
□オンラインゲーム部門営業エリア
売上構成比 売上成長率
中国 81.6% +3.7pp +38.3%
海外 18.4% ▼3.7pp +9.6%
売上、利益は大きく成長しています。ただ、同じようにオンラインゲームを主たる収入源とするテンセントやネットイーズと比較すると、網龍の時価総額はテンセントの136分の1、ネットイーズの19分の1、そして売上高でもテンセントの37分の1、ネットイーズの10分の1というサイズです。テンセントやネットイーズの収入の大半はオンラインゲームですが、それぞれ無料のインスタントメッセンジャー、ニュースや動画を提供するポータルサイト、検索サイト、ブログサイトなどが有名で何億人という登録ユーザーを持ち、多くのアクセス数を毎日集めます。これら無料のサイトが充実していることで収入源のゲームに集客を導くことができます。網龍はこの点で大きく引き離されています。
網龍の有名なゲームは「魔域」という作品で、追加の拡張パッケージ版をリリースして収益の長期化を図っていますが、すでに人気のピークは終わった模様です。もちろん開発中の新作ゲームはあるものの、それらが大ヒットする可能性は競合激しいこの業界でそもそも高くなく、オンラインゲームではテンセント、ネットイーズが圧倒的に強いと思います。彼らは圧倒的な資金力で優秀な開発者を囲い込んで新作にお金を注ぎ込み、また世界の大手ゲーム会社から多額のライセンス料を支払って世界的大ヒット作品の中国での営業権を買い取ります。そうして得た期待の新作を、自らが運営する中国を代表するインターネットサービス網(無料)を通じて売り込みますので、規模感が全く違います。