早朝のマーケットは流動性の低さに注意
外国為替市場は、日本時間の午前4時に開くウェリントン市場、午前6時に開くシドニー市場から取引がスタートします。両市場に共通するのは、まだ市場参加者が少ないため、全体的に流動性が低いということです。流動性が低いと、ちょっとした売り買いで、為替レートが乱高下するケースがあります。
実際、早朝の値動きでロスカットされてしまう経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、流動性が低いからこそ、それを上手く活用すれば、ちょっとした利益を狙えるチャンスがあります。どういうことかというと、ニューヨーク市場の終値に対し、為替レートが乖離するケースがあるのです。
たとえば、ニューヨーク市場の終値が1ドル=80円として、シドニー市場では1ドル=80円60銭になったとします。ところが、このように大きく動いたとしても、午前8時に東京市場がスタートすると、再びニューヨーク市場の終値に近づいていく傾向が見られるのです。
つまり、シドニー市場で1ドル=80円60銭が付いたら、東京市場のオープンにかけて、ニューヨーク市場の終値である1ドル=80円に戻るという前提で、ドルを売るのです。そうすれば、東京市場が開く頃には1ドル=80円までドル安が進み、為替差益を狙うことができます。
もちろん、常にそのような動きをする保証はありませんが、マーケットのクセを利用したトレード手法として、覚えておくと良いでしょう。
実需の東京市場、投機のニューヨーク市場
日本の場合、輸出入企業によるドル買い、ドル売りが頻繁に行われるため、この手の実需筋(輸出入企業など、物の売買に伴う決裁を目的として為替取引をする市場参加者)と呼ばれる市場参加者の動きによって、為替レートが左右されるケースがあります。単に為替差益を狙って売買を繰り返す投機筋(利益をあげることを目的として為替取引をする市場参加者)の場合、買ったドルは売り、売ったドルは買い戻すため、マーケットに与えるインパクトは中立と見られます。
これに対し、実需筋によるドル買いは買いっ放し、ドル売りは売りっ放しになるため、マーケットに与えるインパクトは、比較的強いものになります。また、必要に駆られて売買するため、マーケットのセンチメントだけに左右されないという特徴もあります。
ちなみにセンチメントとは、市場心理のことを指しています。一般に相場は、投資家のセンチメントで大きく動く傾向があり、その動向については常に把握しておく必要があるとされています。
これに対してニューヨーク市場の場合、実需筋の参加はほとんどありません。というのも、貿易取引に用いられる通貨はドルが中心になるため、米国の輸出入業者は、為替取引をする必要がないのです。
そのため、ニューヨークタイムに参加している市場参加者は、基本的に投機筋が中心になり、その動向は市場のセンチメントに大きく左右されやすくなります。雇用統計など、経済指標の良し悪しで為替レートが大きく動くのも、センチメントに大きく左右されるためで、結果、ニューヨークタイムの為替レートは、投機筋の売買によって、乱高下しやすい傾向が見られます。