モダンアウディの共通項、めりはりの利いたドライブ
2.0TFSIは最高出力180ps、2.0TFSIクワトロは211psと2種類の2リッター直噴ターボエンジンを搭載。ミッションは2.0TFSIがCVT、2.0TFSIクワトロがデュアルクラッチのSトロニックとなる
室内も、やや太めの革巻きステアリングホイールや、ロゴ入りスポーツシートなど、走り重視の演出がたっぷり。いちどこれを見てしまうと、“素”を買うのは物足りない気分になるのは、仕方ない。
走りの方はといえば、相変わらずM・ベンツやBMWとはまるで違う“軽やかさ”がウリ。人によってはそれが“軽薄”に思えることもあるだろうし、逆に“軽快”だと好まれる場合もあろう。いずれにせよ、味つけの違いは、見ための次に重要で、特にプレミアムブランドでは“違う”ことにそもそも意味がある。
だから、これから欧州ブランドに手を出そうという方がいらっしゃれば、いったん自分の想いや気持ちのイメージを脇に置いて、たとえばA4とCクラス、3シリーズを、頑張って同じ日に乗り比べてみることを勧める。いろんな発見が、きっとあるはずだ。
2.0TFSIクワトロのA4に関していえば、さばきの軽やかさに加えて、ぐいぐいと前のめりで加速するデュアルクラッチフィールが愉快である。この2つの要素の相乗効果、つまり、直噴過給器付きエンジンのパワフルさとデュアルクラッチの素早さで、めりはりの利いたドライブが楽しめる、というのがモダンアウディの共通項と言っていい。
Sラインということもあってか、ゆっくり走らせているような場面では、多少、路面のざらつきを拾ってしまう。けれども、速度があがるにつれ、フラットさが増し、それとともに乗り心地もよくなってゆく。電動パワーステアリングのフィールも、60km/hあたりでやや抵抗があるものの、それ以外ではスムースだ。
S4にも、短い距離だったが、試乗した。当然ながら、パワフル! なわけだが、感心したのはSラインよりも硬質な乗り心地でありながら、不快さがないという点。均質で密度があり弾力性に優れたアシ回りに仕上がっている。実に欧州車らしい仕立てであった。