Audi(アウディ)/アウディの車種情報・試乗レビュー

走りが潤ってきた、“期待に応える”A6アバント

近年のブランドの好調さを背景にかつてなく大きな役割を担って登場した、プレミアムブランドで名実共に中心となるEセグメントのA6。新たに登場したアバントもセグメントにふさわしいクオリティと、アウディらしいテイストが、高レベルで融合しています。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

好調ブランドの日本での“鬼門”Eセグメント

アウディA6アバント

7世代目となるA6に追加されたアバントと呼ばれるステーションワゴン。ボディサイズは全長4930mm×全幅1875mm×全高1465mm。まずは2.8リッターエンジンを積んだ2.8FSIクワトロ(640万円)と3リッタースーパーチャージャーの3.0TFSIクワトロ(865万円)をラインナップした

矢継ぎ早に登場する、欧州C、D、Eセグメントの新型車に試乗していると、ドイツプレミアムブランドの元気さが手に取るように分かる。もっとも、本国の業績が絶好調とはいえ、関わっている人たちは終わりのない勝負を強いられている感覚で必死の形相だとは思うが、ライバル同士のセグメント戦争を、こうしてハタから勝手気ままに眺めて試すわれわれのような立場からすると、これほど楽しい時代はないのだった。

サルーンを軸としたワゴンやクーペといった、昔からある欧州スタンダードなカテゴリーにおいて、ドイツブランドのパフォーマンスは抜きん出ている。日本車はおろか、非ドイツの欧州ブランドも、価格以外ではもはや太刀打ちできないんじゃないか、と思ってしまうほど、だ。特に、冒頭でも記したC、D、Eセグメントでは、そう感じる。

なかでも、プレミアムブランドにとって名実共に稼ぎ頭となるのが、Eセグメントだ。メルセデスのEクラス、BMWの5シリーズがそれに当たる。この2モデルは日本市場でも人気で、両ブランドの収益に大きく貢献していることだろう。Cで間口を拡げ、Dで台数を確保しつつロイヤリティの高いユーザーを育て、Eやその上で儲ける、というのが古式ゆかしき欧州流自動車ビジネスなのだった。
アウディA6アバント

アルミを全体の20%以上使用、アルミと高張力スチールを組み合わせたモノコックボディ(アルミハイブリッドボディ)を採用、旧型比で約20kgの軽量化を実現した

ところが、独プレミアム、もうひとつの雄であるアウディにとっては、日本市場におけるEセグメントは鬼門のままだ。近年、勢力拡大の一途を辿る元気なブランドの、今、唯一のアキレス腱と言ってもいい。つまり、A6の人気が、なかなか伸びて来ないのだ。

プレミアムブランドのユーザーには、そのブランド性に付和雷同する層と、積極的に忠誠を尽す層ができるもので、Eセグメントは、本来、その中核、分岐点にならなければいけないカテゴリーだから、これが弱いと“上”や“横”に伸びてこない。世界市場におけるアウディは、すでにそれを確立しつつあって、だからこそ、メルセデスやBMWと並ぶ、ときには超えるブランドとして評価されているが、日本では台数、イメージともに、“やや下”で甘んじている。

前置きが長くなってしまったが、要するに新型A6シリーズに託された役割は、近年の好調さを背景に、未だかつてなく大きくなっているはずで、肝心のA6そのものも、それに十分応えるだけの仕上がりになっている、ということを言いたかったわけだ。
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