年金番号重複が発覚
受給資格期間を満たさず、年金が受け取れない恐れも
国民年金や厚生年金の加入者全員には、加入や支払い状況を把握するため、基礎年金番号が与えられています。本来は加入者1人につき1つ与えられるはずのこの番号ですが、一部の加入者や受給者に2つ以上の複数番号が発行されているという事実が見つかったのです。
2012年4月頭現在、複数の番号が発行されていると判明したのは受給者7万人、加入者13万人の計20万人。これは全体の約0.2%にあたるといわれています。
覚えている方も多いと思いますが、2007年には「消えた年金」問題が浮上しました。これは年金記録などがデータから消えていた問題であり、今回の基礎年金番号重複問題とは別です。ただし、当時も重複していた番号が2万件見つかっており、それが「消えた年金」問題の原因の1つであったと推測されています。
なぜ重複してしまったのか?
なぜこのような重複番号の発行が起こってしまったのでしょうか?1つの例として、若い時点で加入した場合が挙げられます。ある人が20歳になる前に就職し、その時点で厚生年金に加入。そして20歳になった時点で、厚生年金に加入している事実を本人や年金事務所が確認せず、そのまま国民年金にも加入。このように厚生年金と国民年金に重複して加入し、基礎年金番号もそれぞれふられるという事態が起こったわけです。それ以外にも、国民年金、厚生年金、共済年金という複数の制度に(就職などの都合で)それぞれ加入してしまった場合、番号の重複が起こっていると考えられます。
平成9年(1997年)、現在の基礎年金番号に移行した段階で起こったミスも多いといわれています。平成8年以前は、国民年金、厚生年金、共済年金など、それぞれの制度に対して個別の年金番号が発行されていました。その混乱を防ぐため、平成9年からは統一された現在の基礎年金番号制度が導入されています。しかし、平成9年の移行段階でスムーズに移行できず、結果として2つ以上の基礎年金番号が発行されてしまった人が多いとも考えられています。