可能性1:外国に買ってもらう
国内で国債が消化できないなら、海外金融機関に買ってもらう方法があります。しかしこれはややハイリスクと言えます。海外投資家は国内金融機関のように日本に対する義理がないので、返済を強く迫ってきます。また危なくなった時に、売って放出することも躊躇しません。どちらにしても先に国内への借金を何とかせず、国外で借金を重ねることは危険だと言えます。可能性2:対内的デフォルト
ギリシャのような対外的な意味でのデフォルトは、国外に貸しているお金が多くないので、今のところはありえません。しかし、国内への国債発行でも対内的なデフォルトをする場合がありえます。対内的デフォルトが実行された場合、国民の預金がなくなってしまうと思ってもらえればいいでしょう。もちろん、具体的にどのようになるかは、その時になってみないとわかりません。ただし、この方法は国民生活への影響が大きいので、当然いい方法とは言えません。実施される可能性はかなり低いでしょう。
可能性3-1:日銀が買い取る(お札を刷る)
個人的には実行される可能性が高いと考えているのが、この方法です。日本には通貨を発行する権限があるので、借金分だけ通貨を発行して、借金を返すことができます。このためには、日銀が国債を買い取るという方法をとります。2月に金融緩和政策として、日銀が10兆円分の国債を買い取る政策を発表しました(参考記事:「日銀の10兆円緩和で景気は上向くか?」)。これは、日銀が10兆円分のお札を刷って市中にバラまいたことを意味します。
ちなみに、日本では財政法第5条によって日銀が政府から直接国債を買い取ることは禁止されています。これを可能にすると、何でもお金を刷れば済むことになり、規律が保てないためです。例外的に、国会の承認を得れば可能になっています。
今やっているように、政府が一旦金融機関に国債を買わせて、それを日銀が引き取るような方法でも大きな違いはありません。
可能性3-2:なぜすぐに買い取りをしないのか?
理屈の上だけで言えば、現在1000兆円ある借金も、すべて日銀に買いとってもらえば(その分お札を刷れば)、「それで終わり」としてしまうことも可能です。しかしなぜしないのか? それは、お札をむやみに発行するとインフレになるからです。アメリカはリーマンショック後の不況を打破するために、「QE2」という6000億ドル(約50兆円)のドル札を刷る政策を実行しました。日本のようなデフレに陥ることを防いだ一方、国際的な先物価格(穀物、燃料など)の高騰を招いています。先物価格の上昇は、アメリカ国内だけの問題には留まりません。世界中の市民の生活が苦しくなっています。しかし、アメリカ政府は自国の景気回復を優先し、QE2を実行したわけです。
日本も同じようにお金を刷って行くと、国内がインフレになる可能性が高いと想定されます。同時に円安が進むので、輸入に頼る食料やガソリン価格なども上がって行きます。昨年の原発事故以来、火力発電に頼っており、電気料金も跳ね上がるでしょう。
国債が国内で消化できなくなったらお札を刷る。1000兆円一度に刷る必要はなく、毎年数十兆ずつ刷って行くことも可能です。その場合、日本で毎年インフレが進行していくと考えられます。