山崎千里が紡ぎだす言葉
心身のケアで、若さにない魅力を生みだすことはできる
本書は、「年齢というコードに捕らわれずに、自由に楽しく、美しく歳を重ねるためのアンチエイジング書」。おもには、生活術や美容法、そして、恋愛作法などが綴られているのだけれど、単なるマニュアルやメソッドではない。面白いのは、具体的な方法を提示しながらも、それを使いこなすための感性の磨き方も書いていること。むしろ、そこに重点がおかれている。
・「恋の話を何時間でもできる時は、恋の到来間近だと心得る」
・「ロゼのシャンパンは、恋の行方を決定づける」
・「実は名前を呼ぶから恋になる」
LOVEの章には、タイトルだけでわくわくするような、恋と感性の深め方がいくつも書いてある。中でも私がもっともぐっと来た内容がコレだった。
・「無防備は異性へのキラーアクションである」
いわく、無防備とは攻めもしないし、ガードもしないこと。隙と無防備は、男性への吸引力が全然違うのだという。隙は、単に気を抜いて生まれるものだから、オトコを優位に立たせるのだけれど、無防備は、もっとフラットな感じ。女性らしいけれど、相手に対しては肩の力が抜けている――「何でもない感じ」でいられること。それが、男を心地よくさせると同時に、探究心をくすぐるのだという。
なるほど。美しく繊細にして無防備な魅力をもった、さまざまな知人女性の顔が浮かぶ。
無防備はつくれる!?
では、その無防備は、どうすれば身につくのか。千里さんは、ファッションの押し引きなど、無防備をもたらす見た目について具体的に指南しつつも、やはり、最後は感性の問題へと終結させていく。たとえば、誰もが気合いを入れてメイクしてきそうな場に、「あえて、ノーファンデーションで出かけてみる」。もちろん、ズボラなわけではない。ノーファンデでもパーティーで輝けるほどの、美肌を普段から整えておくこと。何もしないのが無防備なのではなく、自前の素の価値をあげておくことこそが、女をここぞという場面で無防備にしてくれるのだと。
そういえば、脳科学者の茂木健一郎さんにインタビューした時に、魅力ある美しい女性について、こう語っていた。
「家では、自分を厳しく客観視して、ていねいに化粧をほどこしているのに、外に出て人に会ったとたん、自分がメイクをしていることを完全に忘れて、無防備にふるまえる人だ」と。(このテーマに関しては、茂木さんの著書『化粧する脳』にも)
魅力的な無防備は、恋のキラーアクションであり、それも、また日頃、どんな風に暮らし、何を感じているかという、感性が生むものなのだろう。表面的なルールやメセッドに縛られる前に心に留めておきたい。