革小物としての完成度の高さと実用性の高さ
品質を語るのはいまさらですが、小さくても、というか小さいからこそのrethinkクオリティなので、この「SPY」も見事なコバの磨きと美しいステッチ、軽く薄いけれど、張りがあるしなやかな革と、革小物として、非常に高いクオリティです。小さいとは言え、ノートを入れたまま開ける構造なので、ノートの長辺全体分を磨く必要があるし、Thinking Power Notebookのロゴマーク部分を丸く刳り貫いているので、その部分も磨く必要があります。そういう細部を手を抜かずに製品化しているからこそ、手に取るだけで、その魅力が伝わるのでしょう。ペンを挿して表紙が開かないように留めるカンヌキスタイルは、ノートケースや手帳カバーでは一般的になったスタイルですが、こんなに小さなノート用で採用されているケースは少ないです。このカンヌキ代わりのペンを抜けば、自然と表紙が開いて中にアクセスできる、そのスピード感も、こういう小さなノートを携帯するためのケースの場合、とても重要。素早く内容を参照する、素早くメモをとる、といった欲求に応えてくれるからこそ、ノートケースを使う価値があります。
ペン挿し部分は細身で、挿せるペンは限られているのですが、鉛筆が入る太さなので、それなりに選択肢はあります。ここが太いと、ノートの小ささの意味がなくなるような大きなペンが挿せてしまいます。それはそれで便利かも知れませんが、それでは首から提げた時のバランスが悪くなってしまいますし、せっかくの小ささ、凝縮感が台無し。だから、ペンの選択肢の幅を狭めても、小ささを優先してあるのですが、こういうプライオリティを間違えない設計も、rethink製品の魅力だと思います(ペンは別売です)。
ガイド納富の「こだわりチェック」
「SPY」という名前の由来は、小さいメモ環境である事と、覗き穴のように空いたロゴマークを見せる穴が、まるでソール・バスによる、映画「007シリーズ」のオープニングアニメーションを思わせるから、ということだそうです。そういう遊び心が面白いと思えるのも、実際のモノが良いからでしょう。70mmx31mmの小さなノート専用のケースに、ここまでのアイディアと技術を詰め込んだ製品を作るという、その企画そのものが遊び心のようなモノで、でも、そこに価値を見出して、実用品として利用するユーザーがたくさんいてくれるというのも、とても嬉しい話だと思うのです。
こういうグッズの良し悪しは、結局、持っていて嬉しいか、毎日持ち歩くか、という部分で決まるのだと思うのです。どんなに便利な道具を持っていても、持ち歩かなければ、使われることもないまま、コレクターズアイテムになってしまいます。この「SPY」の場合、使わないと分かっていても、邪魔になるもんじゃなしと、ポケットに入れて出かけてしまいます。そして、ほとんど、メモはこれだけで済んでしまいます。ガイド納富同様、「小さなモノ」が好きな方には、もう大々的に勧めてしまいます。
【関連リンク】
・最小のメモ環境「SPY」の購入は信頼文具舗で
・rethinkの公式サイトはこちら
・Thinking Power Notebookの「Night and Day Dimple」は、こちらから
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