正しく成熟した上で、正直な少女であること
2010 YUME-QUAD FILMS / SCRIPT ASSOCIES / UNIVERSAL PICTURES INTERNATIONAL / CHAOCORP
とはいえ、フランス女にとって、正しく成熟しているとは、単に強いだけでもないし、日本女的にモノ分かりがいいという意味ではない。フランス女は、成熟している一方、少女のような自分本位な姿勢を崩さないし、だからこそ、研ぎ澄まされた感受性や感性もキープしている。
ヴァネッサは永遠のロリータと呼ばれながらも、決して幼さをアピールしているわけじゃない。むしろ、成熟の魅力をきちんと表現している。勝気で強気で自立した大人の女性だけれど、愛を選ぶ潔さを持っている。(99年、恋人と別れたばかりのジョニー・デップのもとに、素直に飛びこんだ)
30代も終わりのヴァネッサをスクリーンで眺めながら、感性が死なないまま、成熟しているからこそ、男心を震わせながらも狂わせるのだと改めて感じ入った。
劇中のジュリエットもそう。次第にアレックスに惹かれはじめ、マリッジブルーにかられた彼女は、なんと結婚式前夜、とある大胆な行動にでる。その情熱によって、恋は急展開を迎える――。心の内には揺らがない芯があるからこそ、心の揺れを楽しめる女、最終的に、奔放になってしまえる女は男心を深く掴む。
日本の女って、揺れない女(肝っ玉かあさん)か、揺れまくる女(自立していない恋愛依存症)のどちらになりがちだけど……。ぜひ、恋の揺れを味わいながら奔放になれる女力を学びたい。
かくして、劇中のアレックスとジュリエットがさまざまな困難を乗り越えて、迎える恋のラストとは? これぞまさに、偶然性が生む本物のロマンスかも!? ウィットに飛んだ会話に笑い、美しい風景と美しい主演2人(アレックスを演じる、ロマン・デュリスもとても素敵です)にときめきながら、女力と本物の恋を学べる1本です。