その答えを探しあぐねている人に、ぜひ観て欲しいのが、恋愛大国フランスから生まれたラブコメディ、映画『ハートブレイカー』だ。
本物の恋ってどんなもの?
ヴァネッサ演じるジュリエットの恋を壊そうと試みるうちに…… (2010 YUME-QUAD FILMS / SCRIPT ASSOCIES / UNIVERSAL PICTURES INTERNATIONAL / CHAOCORP)
けれど、アレックスに罪悪感はみじんもない。なぜなら、揺さぶられて壊れしまうくらうくらいの恋愛ならば、初めから“本物の恋”ではなかったのだから、早いうちに壊してしまって正解なのだと思っているからだ。何とも身勝手な言い分だけど、理解はできる。表面的な想いや薄っぺらい恋は、どんなに誤魔化しても、丁寧に扱おうともいつかはほころびるも運命なのだと思う。
つまり、非情なアレックスは、それが“本物の恋”かどうかを見極めるリトマス試験紙なのだ。しかし、そんなアレックスが、仕事である女性、ジュリエット(ヴァネッサ・パラディ)に出会って、彼女の恋を壊そうとしているうちに、“本気の恋”をしてしまう―――。その時、男は、女は、どうするのか、本物の恋はどこに育つのかというのが本作のあらすじであり主題だ。
舞台は、世界中のセレブに愛され続けてきた憧れのリゾート地、モナコ。美しくてゴージャスな風景に旅情と恋情を誘われながら、ふたりの恋は揺れながらも、少しづつ加速していく。
ジュリエットは、ワインとショッピングを愛する麗しき30代女性。日本で言う、いわゆるイケメン3高の完璧な男性をフィアンセに持ち、順調に愛を育み、婚約までかわしたものの、予定調和な関係性に、どことなく違和感と不完全燃焼感がある。
ジュリエットの父は、婚約者が気に入らず、ふたりを別れさせようとアレックスに依頼したのだ。アレックスは、バカンスを楽しむために挙式の10日前にモナコに入国した、ジュユリエットに、ボディガードとしてうまく近づくものの、とりつく島がない。しかし、アレックスは、任務遂行のために懸命に近づき、観察しているうちに、彼女の多面的な魅力にひかれて行く。