確かに「新しい」書き味を実現した第五の筆記具登場(2ページ目)

これまでに無い書き味の正体を探る

まず、構造から見た「インジェニュイティ」の正体を言ってしまうと、高度に発達した樹脂チップの水性ボールペンです。写真と、これだけで文房具好きの方には大体想像が付くと思いますが、それはあくまでも構造の話。この「インジェニュイティ」が凄いのは、そんな従来にもあったアイディアを、徹底的に洗い上げて、確かに従来には無かった書き心地を実現している事です。

例えば、インクは水性インクですが、新たにこのリフィル用に作られたインクは、従来の水性インクとは比べ物にならないくらい速乾性に優れています。書いた直後に指で擦っても大丈夫なくらいです。また、インクの流出量のコントロールが利いていて、水性ボールペンだと裏写りする紙を使っても、裏写りしませんでした。
面白いのは、リフィルの形状です。ニードルポイントに似た形状ですが、ニードル部分は短く、またボールペンではないので当然ですが、ペン先に回転するボールはありません。そこにあるのは、小さな溝がいくつも刻まれた樹脂で、その溝から紙に触れた力に応じて必要量のインクが滲み出す仕掛け。

つまり、インクフローに関しては万年筆に近いと言えば近いんですね。先端部が樹脂ですから、紙への当たりは柔らかく、またボールを回す構造ではないので、筆圧ほぼゼロでも紙にペン先が触れればインクが出ます。これも万年筆に近い感じです。従来、万年筆ならではの書き味だった、紙にペン先を置いた、その瞬間から書き始められるスピード感も、「インジェニュイティ」なら手軽に味わえるということです。
さらに、リフィルは先端部が平たくなっていて、上下にしなる構造になっています。またペン軸の先端に万年筆のペン先に似たフードが用意されていて、リフィルのしなりを受け止めるようになっています。この両者が合わさると、まるで万年筆のペン先のように、筆記時にしなりが生まれて、書き心地は更に柔らかくなります。ただ、この「しなり」による書き心地は、万年筆に慣れた人でないと分からない程度の、ほんとうにデリケートなもので、実際、ペン先の向きに関係なく、スムーズにインクが出るので、書く時のペン先の方向にそれほどこだわる必要は無いようです。

次ページでは、実際に使った書き心地をさらに詳しくチェックします