企業年金・401k/サラリーマンの年金・退職金

企業年金・退職金と税金の関係は(2ページ目)

企業年金や退職金については、「税金」について知っておくことが必要です。年金受け取り、退職金受け取り、方法で税金もずいぶん違ってくるからです。どちらがお得?

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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年金で受け取る場合は課税される可能性が高い

企業年金を年金形式で受け取った場合は、公的年金と合計して雑所得とされます。所得控除の枠も合計して計算し、控除額が決まります。

今までは、公的年金控除と呼ばれる非課税枠がかなり大きく、多くの年金生活者は非課税でした。企業年金の受け取りを合計してもまだ非課税枠があまっていた状態だったのです。

ところが、公的年金等控除については縮小の方向となっており、近年では普通の会社員が厚生年金と基礎年金(国民年金)を受け取ると、課税対象になっています。つまり、企業年金をその上に乗せると、非課税枠がもう残っていないという状態です。

ただし、公的年金等控除の対象となっているため、企業年金受取額が全額そのまま課税対象になっているわけではありません。軽減はされています。

※最新情報は国税庁のHPでチェックしてください。

今後の見直しと、年金のメリットを検討して選びたい

年金と一時金を比較すれば、一時金で受け取るほうが、税制上の優遇があるように見えます。しかし、以下のポイントで年金受け取りにも魅力があります。

(1)年金受け取りした場合、一時金よりも受取額が多くなる
年金受け取りについては、一時金で受け取る金額を分割受け取りするだけでなく利息相当額が上乗せされます。各企業ごとにその条件は異なりますが、2%以上の利息がつくこともしばしばです。仮に1000万円相当を2.5%の利回りで15年受け取りすると、受け取り累計額は1200万円くらいになります。自分でこうした運用をするのが難しいなら、企業年金に管理・運用を任せるのも選択肢になります。

(2)年金受け取りした場合、後で一時金に変更することはできる
年金受け取りを選択してから、やはり一時金に変更する、というパターンはほとんどの企業年金で認められます。この場合、年金受け取りしていた分を精算し、一時金としていくらもらえるか計算されます。しかし、一時金受け取りを希望して振り込まれた後、やはり年金受け取りに変更する、ということはできません。

(3)企業年金なら計画的に取り崩しすることができる
企業年金受け取りのメリットは、二ヶ月に一回、定期的な振込をしてもらえることです。手元に数千万円の残高があって、毎月自分で自分に安定的に振込をすることは、意外に難しいことです。なんとなくおろして使いそうな人は企業年金の受け取りを選ぶほうがいいでしょう。

もちろん、年金受け取りより一時金を選んだほうがいい理由もあります。

(1)企業年金の減額リスク、解散リスクがある
企業年金は、制度運営が困難になった場合、給付の減額や制度の解散を選択する場合があります。減額についてはOBの同意取り付けが行われますが、解散はいきなり行われることもあります。ただし、減額時には従前のルールにもとづき一時金精算ができますし、解散時は一時金精算が行われ、通常はOBの権利が優先されます。

(2)税制が今より厳しくなる可能性がある
企業年金受け取りあるいは一時金受け取りにかかる税制が今よりも厳しくなる可能性があります。現役会社員並の課税を年金に課すということになれば、今よりも手取りが減ることになります。また、一時金についても優遇が大きいという意見は根強く、課税強化される可能性は高いと思われます。

(3)自分で自由に運用管理できる
企業年金の運用に任せず、自分で投資対象を決めたり運用管理したいのであれば、一時金受け取りを選ぶほうがいいでしょう。ただし、この場合は運用にかかる手数料は全部自分持ち(企業年金では会社持ち)になりますし、運用益は課税されることになります(企業年金では運用益非課税)ので、企業年金の条件よりかなり高い運用成績としなければなりません。

■   ■

一時金にするか年金にするか、自由に選べるのが企業年金の良いところですが、その結果は自分で負わなければなりません。それだけはしっかり確認のうえ、選択することが必要です。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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