中南米鉱山で急成長するヤマナ・ゴールド
ヤマナ・ゴールド(Yamana Gold)はカナダの産金会社ですが、ブラジル、チリ、アルゼンチン、メキシコに鉱山を持ち、ニューヨークに上場する会社です(証券コード:AUY)。ゴールドウォッチャーの間ではまだ株価が2ドル台だった6,7年前より大きな成長の可能性があるゴールドのジュニア株(小型産金株)として注目されておりました。当時、経営陣は金価格の長期上昇に確信を持ち、大きな鉱山買収をレバレッジをかけて行っていましたが、丁度そのころ金価格は500ドルを超えていき、同社の戦略が的を得ているように思えたからです。現在、同社株価は大きく上昇し、時価総額は1兆円弱となって、もう「ジュニア株」とは呼べなくなりました。そしてここに来て過去に取得した様々な鉱山の開発が進み、埋蔵量や生産量を急激に加速させています。そのタイミングで金価格が1900ドルとなったことで、2005~2006年にかけて同社株が注目された時以来、再び米国で注目が集まりだしてきているところです。
生産量は2014年までに60%増
同社の特徴は、ブラジルに多くの鉱山を保有しているほか、チリ、メキシコと、鉱山運営に安定的な国でも資産の鉱山運営を行っていることです。ブラジルにはヴァーレという世界最大級の鉱山会社がありますが、国は開発に協力的で、許認可もスピーディーです。一部の左派系中南米の国では、高騰する金価格を見て、海外民間企業が持つ鉱山を国有化するという、とんでもない動きも見られますが、同社はそのような場所では鉱山を持ちません。
さらに、安定運営だけでなく、同社は今、最も急速成長する金鉱会社の一つとなっています。今期のアナリスト平均による予想では、売上33.4%増、一株利益は64.2%増です。全体に金鉱株は今年非常に高い利益成長が見込まれていますが、非常に小さな会社が黒字転換したり、前年のごく小さな利益から倍増以上したりするケースとは違います。これほどの規模の中では目立つ成長率となっています。
ゴールドコープなど、世界トップ3の金生産量は年300万オンス超ですが、同社は丁度年100万オンス級の生産力となります。金、銀、銅、全て合わせた確認済み埋蔵量を時価に換算すると、ヤマナは954億米ドルです。
もちろん保有時価が丸ごと手に入る訳でなく、ここから採掘コストや販売コストを引く必要あり、最終的にどれくらい残るかというところ次第ですが、確認済み埋蔵量や生産量を急激に増やしている会社には割安評価できるだろうと思います。ヤマナ経営陣によると今年年104-115万オンスの生産量(金換算)を6割増やし、2014年には170オンスとしていく予定です。この世界では鉱山が老朽化し、埋蔵量や生産量が殆ど増えないところが多いなか、非常に高い成長が見込まれていることになります。
株価の方も好調で、ほぼ3年来の最高値にあります。特に6月の調整が終わった以降は安値と高値を毎週のように切り上げる最高の形で急騰し、出来高をつけて昨年の高値ラインを突破しました。ここで前週高値を抜けず陰線に切り替わり、一旦調整あるかもしれませが、さらに高値を目指していく可能性があり、注目できます。
参考:グローバルグロースレポート