FIAT(フィアット)/フィアットの試乗レビュー・車種情報

“イタリア”を体現する老舗ブランド、フィアット

100年以上の歴史をもち、多くの名門ブランドを傘下に収める、イタリアを代表するメーカーがフィアット。イタリア国民の日常を支えるパートナーとして、数々の名車を世に送り出してきた。そんな“ザ・イタリア”のよくできた実用車に乗れば、ちょっとしたイタリア人気分に浸れる。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

100年以上の歴史をもつ、イタリアの代表

フィアット500

1899年にトリノで設立、「トリノのイタリア自動車製造所」というイタリア語の頭文字を取って名付けられたフィアット。1957年に2気筒空冷リアエンジンの500を発表、総生産台数367万8000台の大ヒットを記録した

自動車産業先進国には必ず一つ、規模やキャラクターなどの面でその国の柱と思われているメーカー(ブランド)が存在するものだ。日本のトヨタ、ドイツのVW、フランスのルノー、アメリカのGM……。イタリアでは当然、フィアットである。

その歴史は100年以上であり、自動車の歴史にほぼ等しい。もちろん、この会社をスタートさせたのは、本拠地のあるトリノの貴族とブルジュワたちだった。以後、1世紀に渡り、イタリア国民の日常を支えるパートナーとして、数々の名車を世に送り出してきた。なかでも可愛らしいチンクェチェント(ヌォーバ500)は、その代表格。ほかにも、パンダやプント、そして最新の500など、コンパクトサイズの名車には事欠かない。

小さいクルマ中心で環境問題も有利に

アバルトグランデプント

2007年、往年のチューニングブランド、アバルトが復活。第一弾としてアバルトグランデプントを登場させた

フィアットは自動車の1ブランド(乗用&商用、トラック)であるのみならず、フィアットグループとして、イタリアにおける一大コングロマリットを形成している。その及ぶ範囲は広大で、もちろん自動車産業に限らない。自動車に限って言っても、傘下にアルファロメオやランチア、アバルト、マセラティ、フェラーリといった名門を収めている。

CO2問題があからさまになってきたなかで、小さいクルマがラインナップの大半を占めるフィアットは、ハイブリッドやEVなど新しい手立てを使わずとも、実は非常に有利な立場を築こうとしている。ランボルギーニ以外のイタリアンカーメーカーを束ねるという立場上、それは非常に重要なポイントとなった。

乗ればイタリア人気分に浸れる

フィアット500

吸気バルブで直接空気量を調節する技術(マルチエアシステム)などが取り入れられた875ccの直列2気筒ターボエンジン、ツインエアを500に搭載。アイドリングストップ機構も備え、燃費は従来の1.4リッターより58%向上、10・15モードは21.8km/l(ポップ)とした

だから、フィアットはザ・イタリア。ださいイタリア、格好いいイタリア、不味いイタリア、美味いイタリア、渋いイタリア、豪華なイタリア、華々しいイタリア、すべてのイタリアを体現している。そこの理解が、このブランドのクルマに乗る事の、前向きな態度を生むのだと思う。

極論すれば、フィアットを日本で乗るということは、ちょっとしたイタリア人気分に浸ることと思っていい。パンダや500といった、よくできた実用車に乗っていると、なぜか明るく朗らかで歌いたい気分になってくるものだ。それは、日本人が想像するステレオタイプのイタリア人像ではあるけれども、確かに他の小さなクルマとは気分が違っている。

人生の歩みを、根本的に変えるキッカケをくれるのかもしれない。

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