頭痛の種類・受診すべき診療科
片頭痛を我慢すると、脳梗塞の発症リスクが上がります
一次性頭痛は、頭痛外来を設置する脳神経外科、神経内科、ペインクリニックを受診しましょう。
二次性頭痛は、MRI装備の整った脳神経外科、もしくは開頭手術ができる緊急・総合病院の受診をお薦めします。
一次性頭痛
片頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛、薬物乱用頭痛の症状と治療法を順に解説します。=========================================================
■ 片頭痛
================================================================
片頭痛の症状
ズキンズキンとこめかみや目の周り、首の後ろが痛む頭痛。頻度は数カ月に1回から週に数回起こる人まで、個人差があります。持続時間は数時間から2~3日間痛みが続きます。頭痛は体を動かすと悪化し、光を眩しく感じたり、音や臭いに敏感になるため、頭痛発作中は暗い部屋で独り静かに横になっていることが多いです。片頭痛から薬物乱用頭痛へ
日本では、15歳以上の人口の8.4% なんと840万人(!)が片頭痛に悩んでいると推定されています。しかし、たかが頭痛と考え、市販の頭痛薬を長年頻繁に使用するうちに薬物乱用頭痛となり、頭痛が毎日起こる上、耳鳴りやめまいも併発する方が増えています。片頭痛は脳梗塞予備軍
ところで、片頭痛は2~3日我慢すればそのうち消えて終わる、と考えていませんか? 最近、片頭痛の人は、一般人と比べて脳梗塞を起こしやすいことが分かってきました。片頭痛の発作を起こすたび、脳血管の内皮細胞に損傷を起こし、繰り返す頭痛で血管ダメージが蓄積し、脳梗塞を引き起こすのです。発症倍率は、単純な片頭痛がある方で2倍、キラキラした光が見える片頭痛の方で6倍、片頭痛がありタバコを吸うと10倍、片頭痛があり低用量ピルを飲むと2倍、片頭痛がありタバコを吸い、低用量ピルを飲むとなんと34倍です。片頭痛は注意が必要な症状なのです。片頭痛の治療方法
第一選択薬は、トリプタン製剤です。トリプタン製剤は、脳の血管にあるセロトニン受容体に作用して、脳血管の異常な拡張とむくみを抑えます。また、痛みを悪化させる炎症物質放出を抑え、痛みの伝達も遮断するため、片頭痛の根本治療薬と考えられています。将来起こりうる脳梗塞を予防する意味でも、トリプタン製剤の早期服用は大切です。トリプタン製剤には錠剤、点鼻薬、注射薬があります。患者さんのライフスタイルや重症度、頭痛に対する考え方や仕事環境などを主治医に相談し、最適なトリプタン製剤を選択しましょう。
また、片頭痛の回数や重症度を低下させる予防薬もあります。妊娠の有無、血圧、年齢、肩こりの有無、重症度などを参考に予防薬を選び、頭痛発作をコントロールします。
薬を飲む以外にも、ストレスの少ない規則正しい生活を送ることが片頭痛予防には重要です。片頭痛を起こしやすい食品、寝不足・寝すぎ、ストレス、人ごみや強い日差しの下を避けましょう。そして、緑黄色野菜をしっかり取り、疲れすぎないこと。これらの片頭痛を起こしにくいライフスタイルの構築が、最大の防御です。
================================================================
■ 群発頭痛
================================================================
群発頭痛の症状
群発頭痛の痛みを緩和するには、禁煙と禁酒が有効です
群発頭痛の原因
まだ原因が特定されたわけではありませんが、自律神経の調節を行う体内時計が関係することが分かっています。脳の視床下部の体内時計に乱れが生じ、その情報が視床下部から首の動脈を取り巻く三叉神経に伝わり、誤って痛みの情報として炎症物質を放出する、と考えられています。群発頭痛の治療方法
群発期には早めに就寝し、寝不足による集中力低下を防ぎましょう
群発頭痛の治療薬で最も効果が高いのは、トリプタン製剤イミグランの注射薬です。発作時に、自分で太ももに皮下注射を行います。この注射は即効性があり、毎晩痛みに苦しむ患者さんにとって、頼れる救世主となっています。
また、この注射は医師や看護師ではない一般の方でも恐怖感なく行えるよう、針を付け替えたり、針を見ることなく注射が完了する特殊なペンシル型です。ご安心下さい。それでも注射に不安のある方は、医師に相談しましょう。
=========================================================
■ 緊張型頭痛
================================================================
緊張型頭痛の症状
肩こりは緊張型頭痛の原因になります。適度な運動と休息でリフレッシュしましょう
緊張型頭痛の原因
パソコンや仕事で同一姿勢を長時間続けることや、不安やストレスが引き金となり、緊張型頭痛が起こります。首の後ろや肩、背中の筋肉が長時間緊張することで、筋肉の血流が低下し、疲労物質である乳酸やピルビン酸などの老廃物質が貯まっていきます。それらが神経を刺激し、締め付けられるような鈍痛と頭痛が筋肉から起こります。緊張型頭痛の治療方法
長時間の同一姿勢を避け、肩こりを緩和する軽い体操を生活に取り入れましょう。適度な運動やマッサージ、好きな音楽を聞いてリラックスすることも効果的。自分に合ったリラックス方法を上手に取り入れ、緊張型頭痛を引き起こしやすい生活習慣を断ち切る工夫が必要です。また、片頭痛と緊張型頭痛を合併している人はとても多いのです。片頭痛の根本治療薬であるトリプタン製剤と、筋肉を直接緩め血流も改善するブロック注射治療を併用することで、劇的に症状が改善する方もいらっしゃいます。
================================================================
■ 薬物乱用頭痛
================================================================
好きで薬を飲み続ける人はいません。しかし、痛み止めを長期間連用していると、脳の過敏性が高まり、痛み止めに依存した脳になってしまうのです。
薬物乱用頭痛の治療方法
頭痛を繰り返していると、ストレスからやる気をなくし、うつ症状が出ることも
薬物乱用頭痛は、とても厄介な病気です。なぜなら、患者さん自身がその薬に依存しており、理屈は分かってもなかなか手放せないからです。また、いったん治療しても、再びいつもの薬、もしくはそれに似た痛み止めに手を出してしまうのです。患者さんが薬に溺れている自分をまっすぐに受け止め、心から痛み止めを飲むことを止めたい、と思った瞬間から、本当の治療が始まります。
次のページでは、二次性頭痛の症状、原因、治療法をご紹介します。