指宿へ向けて、出発進行!
定時に鹿児島中央駅を出発。車両基地の脇を過ぎ、鹿児島の街並を見ながら進む。線路の状態がよくないのに一生懸命走るから揺れること揺れること。席から立ち上がるときは、何かにつかまらないと、倒れてしまいそうだ。街並を見下ろすように一段高いところを走り出すと、彼方に桜島が見えてくる。五位野を通過後、しばらくすると海が見えてくる。やがて海岸沿いに走り、海の向こうには桜島が悠然と居座っている。絶景区間である。鹿児島中央からおよそ30分で喜入(きいれ)着。唯一の途中停車駅である。薩摩の小京都と言われ武家屋敷や特攻隊の基地があった知覧へのバスが出ている駅だ。また、喜入は「喜び入る」ということから縁起切符が発売され、人気がある。もっとも「指宿のたまて箱」の停車時間は短いので、縁起切符を買う余裕はない。
喜入を出ると、再び海沿いを走る。桜島は見えなくなったが、対岸の大隈半島が霞んで見える。指宿までの残り時間が少なくなってきたので、1号車のサービスカウンターをのぞいてみた。葉書大の乗車証明書が置いてあり、備え付けの記念スタンプを証明書に押した。女性アテンダントさんがいたので記念グッズはないか訊いてみた。開業したばかりなので、列車の絵葉書セットしかなかったが、記念に購入した。
のれんをくぐって、2号車の席に戻ると、列車は宮ヶ浜を通過していた。海岸線が遠ざかると指宿の街並が近づき、もう終点指宿だ。鹿児島中央駅から50分あまりの旅。ユニークな車内を味わい尽くすにはちょっと短い時間だった。
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