サッカーでチームを引っ張るのは24、25歳の選手たち
20代前半の選手を「若い」とするのは、プロ野球の報道の影響を受けているように思う。野球界はサッカー界に比べて大卒の選手が目立ち、選手の平均寿命も長い。30代後半でも第一線で活躍する選手が少なくないから、プロ入り2、3年目の選手は「若手」という位置付けになりがちなのだろう。サッカーは違う。コアメンバーとなるのは、どのチームも20代のプレーヤーである。20代後半からベテランと呼ばれることもあり、35歳以上の選手となると、どのチームにもひとりいるかどうかだ。チームを引っ張っていくのは24、25歳であり、彼らは「若手」ではないのである。
このところ続々とヨーロッパへ渡っている日本代表クラスの選手たちは、まさにこの世代である。本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア)は21歳でオランダへ渡ったし、香川真司(ドルトムント/ドイツ)は3月17日に22歳の誕生日を迎える。内田篤人(シャルケ/ドイツ)と吉田麻也(VVVフェンロ/オランダ)も22歳である。先週末のゲームでセリエA初ゴールを決めた長友佑都(インテル・ミラノ/イタリア)も、昨夏のイタリア移籍当時は23歳だった。
彼らは「若さ」を言い訳にしない。同世代で活躍している選手はいくらでも探すことができ、自分より若い才能の出現を日常的に目の当たりにする。「若さ」が武器になることはあっても、甘えの材料にはならない。そんなことはできないのだ。日本代表のザッケローニ監督は、2014年のブラジルW杯へ向けて世代交代を進めている。代表の指揮官の思いと呼応するように、10代後半や20代前半の選手の台頭も目につく。
そうした新世代のタレントの成長を加速させるためにも、言い訳の許されない環境を作り出していきたい。香川が所属するドルトムントは、先発の平均年齢が22歳台のチームで国内リーグの首位を快走しているのだ。