「ねじれ国会」で予算成立が不透明に

毎年1月から開かれる通常国会は、次年度予算案の審議が最大イベントの1つとなります。今年も2011年度予算案がこれから審議されますが、現在の国会は衆議院において民主党が過半数であるのに対し、参議院では過半数を割り込む「ねじれ国会」状態にあります。

ねじれ国会であったとしても、予算の成立そのものはあまり問題ではありません。なぜなら、日本国憲法では、予算が衆議院で可決されたら、参議院で可決されなくとも30日経過すれば自動的に成立すると定めているからです。

しかし、予算とはそれだけで成立するものではありません。予算実行のためには、各予算関連法案が同時に国会に提出されます。これらは法案であるため、予算のように衆議院通過後30日で自動的に成立することはありません。ここが問題となってくるのです。

法案が衆議院で可決されたのち参議院で否決されたら、衆議院の3分の2以上の賛成をもって再可決されれば、そこで成立に。しかし。現在の与党は衆議院で3分の2以上の議席は持っていません。与党が提出した法案に対して野党が反対をすると、成立が難しくなるのです。

予算を実行するために必要な予算関連法案はいくつかあります。以下で代表的なものをあげておきます。

公債特例法案

予算は予算案だけではなく、関連法案も成立して初めて実行できる。

予算は予算案だけではなく、関連法案も成立して初めて実行できる。

公債特例法案とは、赤字国債を発行するための法案。日本の国家予算は、その4割前後を国債発行で賄っています。公債特例法案が成立しないと、国債が発行できず、この歳入がなくなってしまいます。

もともと公債特例法案とは今年に限ったものではなく、これまで長年の間、毎年のように国会に提出され成立してきました。しかし、今年は成立するかどうかが焦点となっています。

子ども手当法案

昨年2010年から実行されている子ども手当ですが、成立段階では恒久的なものではなく、あくまで1年間の時限措置でした。今年以降も継続するためには、新たな法案を成立させる必要があります。民主党は毎月1万3000円支給の継続だけではなく、3歳未満には2万円を支給する改正を盛り込んだ法案を提出する予定。しかし、この法案には反対者も多く、成立するかどうか全く不透明です。

成立しなければ、子ども手当は一旦打ち切りになります。この場合、子ども手当の前に存在していた児童手当が復活になりますが、自治体によっては手続き制度自体を排除してしまったところもあると言われ、児童手当復活となれば混乱を招きかねません。

関税定率法案

国外から輸入される製品にかける関税の率を定めるのが、関税定率法案。関税がかけられている品目の中には、現在暫定的な軽減税率が適用されているものもあります。

その軽減税率を今後も適用するためには、法案を提出しなければなりません。成立しないと、軽減税率が適用されなくなり関税率がアップ。最終的に、お店で販売されている商品の価格値上がりにつながります。

民主党試算では、関税定率法案が成立しなければ、ステーキ肉は100グラムあたり約11円、チーズは150グラムあたり約10円値上がりになるとしています。

税制改正法案

今年度は所得税成年扶養控除の縮小や相続税の増税など、さまざまな増税案を盛り込んだ税制改正法案が提出されます。それが成立しなければ、税制は改正されないままになります。

不透明さ増す政局

日本の戦後史上、これまでにも「ねじれ国会」は何回かありました。しかし、そのどれもが衆議院で与党が3分の2を維持していたため、参議院で法案が否決されても、衆議院で再可決ができる状況であったと言われます。

今の国会は、民主党が衆議院で3分の2を維持していません。このような不透明な政局で予算がどうなるのか、国民としては非常に気になるところです。

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