名に恥じない強烈なクーパーS
まず注目グレードは、MINI初の4WDとなるMINI Cooper S ALL4だろう。オンデマンド式の4WDは、基本的に前輪を駆動し、路面や走行状態により後輪にも駆動力を振り分ける。前100:後0から前0:後100と駆動力を振り分けられるフルタイム4WDだ。また、184ps/240Nmのパワー&トルクは何ら不満はない。クーパーS 4WDは、ATで1460kgと重めだが、オーバーブースト機能が作動すると260Nmに達するトルクはアクセルを踏み込めば即座に実感できる。
ただし、乗り味はクーパーSらしくハードめだ。路面の轍を正直にステアリングに伝えてくるし、凹凸を超えた際の衝撃も決して小さくはない。しかし、MINIのクーペモデルよりもホイールベースが長い分、飛び跳ねるような姿勢にはならないのはメリット。MINIはゴーカートのようなフィーリングと例えられるが、そこまでヒラリヒラリと走るわけではないものの、MINIシリーズらしい軽快なフットワークであることも確かだ。
雪国待望のMINIに4WD
クーパーSの4WDは、今までMINIになかった4WDモデルということで雪国ではまさに待たれた仕様といえるだろう。今年のような大雪でもロードクリアランスに余裕があるし、4WDなので天候や走行場所をより選ばない利点は大きい。一方で、4WDは必要ないというユーザーが主流になるはず。後席に家族を乗せるならワンかクーパーをチョイスした方が乗り心地的にも適任だ。
MINIが欲しいけど実用性という面で躊躇していたファミリー層はもちろん、アウトドア系の趣味を持つ人に大いに歓迎されるはずのMINIクロスオーバー。MINIシリーズの躍進ぶりと漂わせる雰囲気は、なんだかiPhoneやiPadと独創的なデジタル端末をリリースするAppleを思わせる。スタイリッシュなカーライフスタイルを得られそうな予感を抱かせる注目のモデルだ。