スマートハウス・エコ住宅/スマートハウス・エコ住宅の基礎知識とトレンド

2011年の注目 CO2±ゼロ住宅とスマートハウス

住宅の世界って一見あまり変わり映えしないように感じられます。しかし、その技術は日進月歩なのです。今回は、ちょっと先の住宅をご紹介。2011年は「CO2±ゼロ住宅」の量産化や、「スマートハウス」の実証などエポックメーキングな1年になりそうだからです。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

明けましておめでとうございます。新年一発目ですから、今回は今年を含めて今後、住宅の世界でどんな変化が起こるのか、ということについて書いてみたいと思います。とくに今年は、「CO2±ゼロ住宅」に関する動きが、ハウスメーカーの間で活発化しそうです。

今年は「CO2±ゼロ住宅」の量産化元年に

エコフラグシップモデル

ミサワホームが建設した「エコフラッグシップモデル」。断熱性の向上やカスケードソーラーなどハード面だけでなく、通風や採光に配慮した居室構成、外構づくりといったソフト面も工夫している

「CO2±ゼロ住宅」とは、太陽光発電システム(PV)など環境技術などにより、居住CO2を大幅に減らし、建設から居住、解体、廃棄に至るまで、建物のライフサイクル全体を通してのCO2収支についてゼロ以下(マイナス)を目指すというものです。

従来までは、「光熱費ゼロ住宅」があり、経済性の部分では収支ゼロを達成することができる住宅はありました。ただCO2ベースでの収支ゼロについては、技術面やコスト面がネックになり実現が難しい部分がありました。

しかし、今年は「CO2±ゼロ住宅」の量産化元年となりそうなのです。すでに、ハウスメーカー各社が今年中に商品化する方針を打ち出していますし、実は今年に入ってミサワホームが「LCCO2マイナスモデル」として発売を開始しています。

ミサワホームはフラッグシップモデル建設

昨年、私はこのモデルのフラッグシップとなる建物(「エコフラッグシップモデル」)を見学してきましたので、少しご紹介しましょう。フラッグシップとなる建物は、ミサワホーム総合研究所内の敷地に建設されています。主な特徴は以下の通りです。

HEMS

エコフラッグシップモデル内にあるHEMSのモニター。使用電力、発電量、売電(買電)料金、CO2排出量などを表示している(クリックすると拡大します)

(1)カスケードソーラーシステム(PV+太陽熱利用)による創エネルギー技術基礎断熱や付加断熱システム、高断熱ガラスなどの省エネルギー技術を採用
(2)涼風制御システムや生物多様性の庭などのECO微気候デザインを採用
(3)長く住み続けられて家族構成や使用形態などの変化に対応する「田の字」ゾーニングを採用
(4)田の字の各ブロックに光や風を招き入れる「十の字」空間を採用
(5)家庭内のエネルギー利用を最適化する蓄電池付きHEMS、PHV(プラグインハイブリッド)やEV(電気自動車)に対応する次世代自動車充電ステーションを提案

このほかにも色々と特徴があるのですが、基本はこんな感じ。例えば、外壁の厚さは従来のミサワホームの商品の2倍(つまり断熱材を2倍使用)しているそう。新年早々に発売された新商品「LCCO2マイナスモデル」(ジニアスシリーズがベース)はこの基本性能を反映させています。

さて、ハウスメーカー各社が「CO2±ゼロ住宅」の開発に力を入れているのは、今後の「スマートハウス」という新しい住宅のあり方について模索をしているから。次のページでその動きをご紹介します。
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