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相互厭人的読書生活2

ガイドの読書記録です。今回は2011年1月4日~10日まで読んだ本をとりあげます。中島京子『エルニーニョ』、海堂尊『モルフェウスの領域』など。

石井 千湖

執筆者:石井 千湖

話題の本ガイド

直木賞受賞第一作で仕事始め

エルニーニョ

名久井直子装幀の美しい本。講談社刊。

年初の締め切りは、中島京子さんのインタビューだった。年末に、直木賞受賞第一作の『エルニーニョ』についてお話を伺ったのだ。記事をまとめるにあたって、再読。

21歳の女の子と7歳の男の子の逃避行を描いたロードノベルで、さまざまな異文化との“混じり合い”が印象に残る。作中に出てくる昔ながらの商店街は、中島さんがライター時代、取材したことがある熊本の商店街がモデルだそう。

主人公の二人が抱えている事情は重いのだけれど、おばあさんが一人でやっている砂糖屋を繁盛させたり、倉庫を改装したホテルで豪遊したり、楽しい場面も多い。

メインストーリーの間にたくさん入っている挿話もとてもおもしろくて、一冊で何冊も本を読んだような満足感がある。特に好きなのは、16世紀に印刷機と一緒に伝来した〈イソポのハブラス〉の話。文体に愛嬌があるというか、〈おじゃる〉とか〈アホリカ〉とか、音読したら笑ってしまうような、かわいい響きの言葉が使われているのだ。

最後の挿話、〈砂糖屋の看板娘〉の清々しさ! 『小さなおうち』とは、またちがった魅力がある。

そうこうしているうちに、芥川賞直木賞の候補作が発表に。
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