プロバイダ・インターネット接続/プロバイダ関連情報

「プロバイダ3社提携」報道の背景には何があるのか

BIGLOBE、@nifty、IIJのプロバイダ3社が提携するとの報道がありました。報道の背景を探ります。

大島 克彦

執筆者:大島 克彦

デスクトップパソコンガイド

BIGLOBE、@nifty、IIJが包括提携?

統合のウワサになったIIJのWebサイト

統合のウワサになったIIJのWebサイト

5月11日付「日本経済新聞」によれば、プロバイダのBIGLOBE、@nifty、IIJの3社が包括的な提携を行うことで調整中とのことです。

提携内容は、「2011年をメドにメールや課金などの中核システムを統合する」というものらしく、企業からすればコスト削減につながるもの。記事はこれにとどまらず、「業界再編につながる可能性もある」としています。

「業界再編」というと、企業の合併が頭に浮かびます。昔を知るユーザーからすれば、パソコン通信「PC-VAN」を前身とするNEC系のBIGLOBEと、同じく「NIFTY-SERVE」を前身に持つ富士通系の@niftyが統合するとは、思いもよらぬことでしょう。かたや IIJは、日本で最初に商用サービスを始めた老舗プロバイダです。

背景はプロバイダの「経営難」

3社からは、この報道についてのコメントなどは発表されていませんので、正確なところはわかりません。それにしても「あってもおかしくない」ことです。プロバイダの経営はどこも苦しく、純利益ベースで黒字の企業はほとんどないからです。

経営難には理由があります。一つに、ほぼすべての家庭がなんらかのインターネット接続環境をもつなど、市場が飽和していること。現在のプロバイダ入会は、ほとんどが「乗り換え組」です。

二つめに、価格引き下げ競争が厳しく、値下げの余地が少ないことです。ゆえに、各社ともコンテンツを拡充させるなどでユーザーの確保に懸命ですが、他社もすぐに追随するので特色のあるサービスが打ち出しにくいのが三つめの理由です。もちろん、実際には各社とも特徴があります。あくまで、特徴を出し「にくい」ということです。

3社のシェアを総合すると約14%で、業界第2位のYahoo! BBとほぼ並ぶとされます(「日経」の推定値)。統合により設備費用は約20%節約できるとされ、これを原資に料金引き下げやサービス向上が図られれば、ユーザーにも利益になるものです。IIJの子会社である hi-ho(ハイホー、パナソニックから譲渡)のユーザーにも同様の利益があるでしょう。

また、法人や官公庁に強い IIJ と個人ユーザーがメインのBIGLOBE、@niftyが統合することで「相乗効果」が見込めるという判断もあるでしょう。

統合にも死角?

問題は、IIJの筆頭株主がNTTであること。NTT系列下には、プロバイダシェア1位のOCNと、同じく上位のぷららがあり、ぷららとIIJも提携しています。

筆者としては、むしろ IIJとぷららの統合のほうが「ありそう」で、BIGLOBE、@niftyは別のプロバイダとの統合をめざしそうな気がします。

もちろん、統合のあるなしにかかわらず、「メールアドレスが使えなくなる」などということはありません。安心しつつ興味を持って、動向を見守りたいものです。

【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で人気のプロバイダを見るAmazon でネット接続の関連商品を見る
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※OSやアプリ、ソフトのバージョンによっては画面表示、操作方法が異なる可能性があります。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます