BIGLOBE、@nifty、IIJが包括提携?
統合のウワサになったIIJのWebサイト
提携内容は、「2011年をメドにメールや課金などの中核システムを統合する」というものらしく、企業からすればコスト削減につながるもの。記事はこれにとどまらず、「業界再編につながる可能性もある」としています。
「業界再編」というと、企業の合併が頭に浮かびます。昔を知るユーザーからすれば、パソコン通信「PC-VAN」を前身とするNEC系のBIGLOBEと、同じく「NIFTY-SERVE」を前身に持つ富士通系の@niftyが統合するとは、思いもよらぬことでしょう。かたや IIJは、日本で最初に商用サービスを始めた老舗プロバイダです。
背景はプロバイダの「経営難」
3社からは、この報道についてのコメントなどは発表されていませんので、正確なところはわかりません。それにしても「あってもおかしくない」ことです。プロバイダの経営はどこも苦しく、純利益ベースで黒字の企業はほとんどないからです。経営難には理由があります。一つに、ほぼすべての家庭がなんらかのインターネット接続環境をもつなど、市場が飽和していること。現在のプロバイダ入会は、ほとんどが「乗り換え組」です。
二つめに、価格引き下げ競争が厳しく、値下げの余地が少ないことです。ゆえに、各社ともコンテンツを拡充させるなどでユーザーの確保に懸命ですが、他社もすぐに追随するので特色のあるサービスが打ち出しにくいのが三つめの理由です。もちろん、実際には各社とも特徴があります。あくまで、特徴を出し「にくい」ということです。
3社のシェアを総合すると約14%で、業界第2位のYahoo! BBとほぼ並ぶとされます(「日経」の推定値)。統合により設備費用は約20%節約できるとされ、これを原資に料金引き下げやサービス向上が図られれば、ユーザーにも利益になるものです。IIJの子会社である hi-ho(ハイホー、パナソニックから譲渡)のユーザーにも同様の利益があるでしょう。
また、法人や官公庁に強い IIJ と個人ユーザーがメインのBIGLOBE、@niftyが統合することで「相乗効果」が見込めるという判断もあるでしょう。
統合にも死角?
問題は、IIJの筆頭株主がNTTであること。NTT系列下には、プロバイダシェア1位のOCNと、同じく上位のぷららがあり、ぷららとIIJも提携しています。筆者としては、むしろ IIJとぷららの統合のほうが「ありそう」で、BIGLOBE、@niftyは別のプロバイダとの統合をめざしそうな気がします。
もちろん、統合のあるなしにかかわらず、「メールアドレスが使えなくなる」などということはありません。安心しつつ興味を持って、動向を見守りたいものです。