日本の最近の年金制度改革を振り返ってみると、厚生年金に関して言えば、1994年に定額部分の支給開始年齢を60歳から65歳に引き上げ、2000年の改正で報酬比例部分を同じく60歳から65歳に引き上げられました。支給開始年齢が5年間繰り下げられると本来貰える年金額が大幅に減ることになり、老後の生活設計に大きな影響を及ぼします。単純に比較することはできませんが、今まで日本の厚生年金制度の改正もフランスの今回の改正以上にインパクトの大きいものだと思いますが、意外と冷静に受け止められたものだと感じます。
ご承知の通り、日本は世界一の長寿国で、高齢化が最も進んでいる国です。年金財政の破たんを防止する策としては、年金給付水準の引き下げか支給開始年齢を繰り下げるかのいずれかの方法を取らざるをえません。世界の年金制度に目を向けてみると、ドイツ、アメリカでは支給開始年齢が67歳に、イギリスでは68歳に段階的に繰り下げられることになっています。そう考えると、日本の支給開始年齢も、更に繰り下げられることも十分に考えられます。
今、新政権が誕生して以降、「新年金制度に関する検討会」が国家戦略室の中に設けられ、新しい年金制度の創設に関して、まさに議論がされているところです。私たちの老後の生活設計に重大な影響を及ぼす事項なので、その動向に注目しましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。