「親を選んで生まれてきた」という子どもたち
「胎内記憶」という言葉を聞いたことがありますか? 3歳前後の子どもの約3割が、お母さんのおなかの中にいたときのことや、おなかに来る前のことを覚えているそう(池川明 著『赤ちゃんと話そう! 生まれる前からの子育て』より)。実際に記憶があるのかどうか証明はできませんが、胎内記憶や誕生記憶の例は、世界中で100年以上前から報告されてきました。
「おなかの中は暗くてあったかかったよ」、「くるくる回っていたよ」と語ってくれる胎内記憶のエピソードは、どれも温かい気持ちにさせてくれます。子どもたちの話で共通しているのが、自分のお父さん、お母さんとなる人を選んで生まれてきたというもの。池川先生によれば、流産・死産になってしまった赤ちゃんも、障害を持って生まれてきた赤ちゃんも、虐待を受ける子どもや中絶された赤ちゃんでさえも、自分を受け入れてくれる親を選んで、メッセージを伝えるため生まれてきたのだそうです。「空からパパとママを選んで生まれてきたんだよ」という話には、本当にそうなのかもしれないと思わせる不思議な力があります。
数億の精子とひとつの卵子が出会い、受精、着床し、いのちが誕生する奇跡。赤ちゃんはパパ・ママを選んでこの世にやってきた――
胎内記憶は子育てを元気にしてくれる
「赤ちゃんとママはつながっているんですよね」と語る大葉ナナコさん
大葉ナナコ(以下、大葉):
胎内記憶って、科学的根拠はないのかもしれない。でも、それでいいと思っています。なぜなら、私がなぜこのパートナーを愛してるのかなんて、科学では証明できないでしょう? だから誕生の物語もファンタジーでいいと思うんです。子育てを元気にしてくれるメッセージとして私は受け止めています。
私には子どもが5人いますが、胎内記憶の知識を得てから「お腹の中はどうだった?」と聞けたのは2人。「おなかの中で白い紐で遊んでいたよ」と答えていたので、「ああ、赤ちゃんの脳は記憶をもって生まれるのかな」と感じました。「おなかの中は何色だったの?」と聞いてみたときに、「ピンクに決まってるじゃん!」、「えー? 私はオレンジだったよ」と盛り上がって驚きました。本当かどうかはわからなくても、幸せそうな表情で言うのが印象的でした。
おなかの中にいるときから母子は体がつながっているだけじゃなくて、心もつながっているんですよね。子どもが胎内記憶を話すか話さないかはさておき、おなかの中にいたときのことを一緒に語り合うことで、親子関係を深めるきっかけにもなるのでは。ぜひ読者の皆さんも、お子さんが3歳くらいになったら、聞いてみてくださいね。
>> おなかの赤ちゃんは感じている