吉祥寺の駅から、大通りを歩き、三越の裏へ回ると、急に静かな路地になります。 ぽつんぽつんとある喫茶店や古着屋さんを冷やかしながら歩いていくと、 ごちゃっとお店が固まった、雑居ビルの一角に、小さな文房具屋さんがありました。
左:クリップボードにダイモを貼ってお店のアナウンスが書かれている。
右:昔どこかでみたような、懐かしいカタチのポスト(売り物です)。
お店の名前は「36 sublo(サブロ)」。オーナーである村上幸さんのおじいちゃん の名前「三郎」から取りました。実は村上さんの実家は京都の文房具屋さん。 おじいちゃんはその創業者だったのです。お店の片隅には、おじいちゃんを交えて 家族みんなで撮った写真が、そっと飾られていました。
お店の什器はすべて古いものばかり。右はいろんなペン
が入ったケース。懐かしいデザインのペンが見つかる。
小さな頃から文房具に囲まれて育った村上さん。もちろん文房具や雑貨が大好きでした。 東京へ出てきてからは、専門学校へ通ったり、雑貨屋さんで働いたりして、 自分の夢に一歩一歩近づいてきました。 あらゆるものを見て、ものを選ぶ目も肥えてきた頃、 改めて実家の文房具を見てみたら、新鮮な発見があったのだそうです。 「町で文具屋さんをチェックするときも、普通の人が見てないところばっかり見てしまうんです。 棚の下の方のほこりかぶってるところとか。意外なものが見つかるんですよ」。
気が付くと夢中になってしまう、宝探しのような店。
お店を始めたのは「勢いで」という村上さんだけれど、店内には村上さんの文房具に注がれる 愛情があふれていました。「こんなの昔あったよね~」というようなものでも、実は現行品だったりして、その「掘り出し力」にびっくりします。意外なジャンルからスタイリッシュなものを見つけてくるのが村上さんの得意技。 例えば写真左上のグリーンのノートは測量などで使われるレベルブック。 本来、工事のおじさんなどが使うものなんだけど、 シンプルな概観と、中のピンクとブルーのラインが女子高生にも支持されています。 左下はマッチ棒くらいのとっても小さな色鉛筆。使い勝手だけではなく、 持っているとなんだか楽しい気分になれる文房具が集まっています。 「日本の文房具は、小さな頃から自分が一番知っている分野。 私しかできないゾーンだと思っているから、こだわって選びたいです」。 日本で初めてできたシャープペンシルの復刻版、なんていうマニアックなものが並んでいることも あります。(私が行ったときは売り切れでした)。 女性の視点ながら渋いセレクトは男性好みでもありそう。
本がぴったり納まるショルダーバッグ
お店にはなかなか個性的なお客さんが訪れるようで、話しているうちに盛り上がってしまうことも。 そこから仕事につながることもあります。 上の写真は偶然遊びに来てくれた、デザイナーさんの作品。 その名も「BOOK PACKER」。 キャンバス地のブックカバーに紐をつけて、肩から下げられるようにしました。 メトロカードが入れられるポケットも付いています。 単行本サイズと旅行ガイドブック(地球の歩き方など)サイズの2種類があります。 旅に出かけるときに気軽に本を持っていきたいな、という気持ちで作ったのだとか。 お店を始めたことでこんな風に小さな出会いもあり、 このつながりを大切にしながら、少しずつ、新しいことも始めていきたいそうです。
お買い物したら、こんな風に包んでくれました。
36 sublo(サブロ)
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-28-3 ジャルダン吉祥寺107
TEL 0422-21-8118
営業時間 12:00~20:00 定休日 火曜日
http://www.sublo.net/ (オンラインショップもあり)