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歯科医が教える理想の歯磨き方法

理想の歯磨きは、自分にあったオーダーメード歯磨き。歯科医で指導されるブラッシング法が必ずしもあなたの歯にあっているとは限りません。歯磨きの目的をもう一度頭に入れなおして、自分にあった理想の歯磨き法を覚えましょう。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

簡単そうで難しい歯磨き。しっかり磨いているはずのに、検診でいつも虫歯が見つかってしまうなんてこと、ありませんか? 歯磨きは人により千差万別。教科書的な基本的な歯磨きが、誰にでも理想的というわけではありません。理想的な歯磨きのためには、自分の口の状態にあった、「オーダーメイド歯磨き」を行なうことが大切です。

普通の歯磨き方法では虫歯や歯周病を予防できない

歯磨きの方法

理想的な歯磨き方法は、理想的な歯並びがあってこそ

歯磨きの話で歯科医の教科書で必ず出てくるのが、「バス法」「スクラッピング法」などの方法。歯医者さんでも模型を手に説明することが多いので、内容を聞けば、あの磨き方のことか、とわかる方が多いと思います。なかには歯ブラシの角度まで指定するものもあり、いかにも効果がありそうです。

しかし、教科書的な歯磨きには落とし穴があります。これらは「整った歯並びの歯」を効率よく磨くための方法なのです。もし歯並びが少し入り組んでいたり、歯と歯の間隔が狭いなどの部分があれば、この方法だけではプラークが落とせないこともあると覚えておきましょう。


「究極のオーダーメイド歯磨き」のためのヒント

自分の歯に虫歯予防したいのなら、大事なのは自分だけの歯磨き。まずは自分の歯並びを知ることから始まましょう。歯並びに凸凹がある場合、その場所はオーダーメイド歯磨きでカバーすることが大切です。

■凸凹歯並びは最重要ポイント
歯は、きちんと並んだ状態が、最も理想的な機能を発揮する形態にできています。歯並びに乱れがある部分は、様々な方向から歯ブラシを当ててみたり、自分だけのオリジナルの磨き方でクリアーしましょう。必ずしも教えられた通りの方法で磨かなくてよいのです。

ブラッシング方法は自由
歯並びが整っていない場所は、ブラッシング方法にとらわれず、方向や動かし方など、自分独自の方法でもかまいません。「とにかくプラークを落とすこと」を考えてください。

■治療跡でウイークポイントを知る
30代以降になると、金属や樹脂などの詰め物、被せものが増えてきます。これはそのままあなたのウイークポイント。まだ治療していない同じような場所(奥歯・歯の間など)は次の虫歯の予備軍かもしれません。

■電動歯ブラシも検討

普通の歯ブラシは口でくわえているだけでは、汚れは全く落ちません。しかし電動歯ブラシは歯に合わせて移動させるだけで汚れが取れるのが最大のメリット。普通の歯ブラシではあまり磨けていなかったのに、電動歯ブラシに変えてかなり磨けるようになった人も最近増えてきました。

■アプローチ方法より結果
私も含め、歯ブラシを指導する立場からすると、磨く行為そのものに目を当てがちです。しかし、最も大切なのは言うまでもなく結果です。まずはどんな磨き方でも良いので、プラークを落とすことを優先してください。

また、大人の理想の歯磨きのためには、歯ブラシだけでは不十分。歯並びが悪い部分や毛先が届きにくい狭い部分は、ぜひデンタルフロスや、歯間ブラシを追加してみてください。ほんの少し使うだけで、虫歯や歯周病のリスクを飛躍的に下げられるケースも多いのです。


歯ブラシ以外の味方を利用する

ブラッシングを毎日完璧にこなすことは意外に大変。そこでブラッシングの不足分を補う、次の2つを味方につけましょう。

唾液
唾液は、プラークの虫歯菌が酸で歯に穴を開けようとするのを防ぎます。さらに酸で歯が柔らかくなって、虫歯前の初期段階であれば、唾液が自動的に修復、補強する再石灰化という「歯の修復サイクル」を毎日繰り返し行なってくれます。

歯の修復には、口内が唾液で満たされた状態で2~4時間必要。しかし、就寝時には唾液の分泌が低下するため、修復はあまり起こらないのでご用心。シュガーレスガムなどで、唾液を分泌を促進したり、寝る前には飲食しないなどの作戦も効果的です。

歯の検診
自分ではどんなに歯磨きを一生懸命に行なっていても、それだけでは安心できません。かかりつけの歯医者さんなどを利用して、定期的に検診を行なっておけば、磨き残しを見逃す心配はなし。

さらに定期的に歯石などを取ることによって、歯周病への予防や、初期の虫歯などを効率よく発見できるようになります。

理想の歯磨きの2つの鉄則
  1. 虫歯や歯周病を予防するという偏りを修正。デンタルフロスや歯間ブラシを追加し、オーダーメイドブラッシングを心がける
  2. 唾液の再石灰化の効率化し、専門家の検診を受ける

早い段階から、この2つを組み合わせることが歯の健康維持に有利に働くことを知っておきましょう。
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