ブックカバーのポイントは厚さ対策と感触


YAMASAKI DESIGN WORKS「ブックカバー イエロー」7,350円(税込)
色は、写真のイエローの他、ブラック、ブラウンがある

ガイド納富は、ブックカバーのコレクターと言ってもいいくらい、ブックカバーが好きで、珍しいものを見かけたら買わずにはいられないし、自分でも理想のブックカバーを目指して、デザイン、プロデュースしているほどです。では、何故、そんなにブックカバーが好きなのかと言うと、良いブックカバーを掛けた方が、裸で読むより本が読みやすく、読んでいて気持ちよくなるからなんです。これは、ガイド納富の体験上の話なので、誰にでも言えるとは限りませんが、読書中の指先の感覚というのは、意外に大事な気がするのです。それは、iPadで本を読んでいても感じる事で、だから、ガイド納富は、iPadにもブックカバーのようなカバーを掛けて使っています。

そんなガイド納富が考える、ブックカバーの重要なポイントが、素材と縫製的には、指に当たる感触、つまり素材感と右手の親指と人さし指の間に当たる、本の右側の折り返し部分がフニャフニャしていないこと。機能的には、様々な厚みに対応出来る事。結局、この三点に尽きるのではないかと考えています。素材は、紙、布、革、木など、それぞれに魅力があるので、どの素材が良いということはありません。ただ、素材、それぞれの中には善し悪しがあるので、自分の指の感触に合う、気持ちよく触れるモノを選びたいです。あと、右の折り返し部分というのは、もうガイド納富の個人的なこだわりですので、こういう部分は人それぞれあると思います。私は、右の折り返しが、裸の本同様に、ビシッと折られているタイプが好きということです。ここにステッチが入っていると、本を読んでいても、そこが気になってしまうのです。これは、読む時の手のポジションにも関係すると思います。逆に、左側の折り返しが気になるという知人もいますし。

二つに分けたカバーを背中で留める新しいスタイル

表紙と裏表紙にそれぞれカバーを装着して、背中でスナップ留めする構造

そんな、ブックカバーに対して無駄にこだわりの多いガイド納富が、話を聞いた時にはあまりピンと来なかったのですが、実物を見たら、いきなり気に入って購入、その後も愛用しているのが、ヤマサキデザインワークスのブックカバーです。元々、このガイド記事でも、ヤマサキデザインワークスの製品は、いくつも紹介しているほど、好きなブランドなので、革の品質の良さは十分知っていました。ただ、二枚の革カバーを背中でスナップ留めするという独特の構造が、果たして、読みやすいのかどうか、よく分からなかったのです。

薄い本を入れた場合。薄い本でも、だぶつく部分が無い

考え方は、よく分かります。ブックカバーに本を差し込む時、どうしても、本の表紙をたわませたり、大きく開いたりしなければならず、本を痛めるのではないかと心配になる事があります。そこで、それぞれの表紙にカバーを差し込んでから、背中で留めれば、本に負担をかけないという考えは、とても良いと思います。前に、このガイド記事でも紹介した、マウンテンマウンテンさんのブックカバーが、それに少し似た方法をとっていましたが、背中で留めるというシンプルなスタイルは、ヤマサキデザインワークスさん独自のものでしょう。

厚い本を入れた場合。1.5cmくらいが限界

実際に使ってみて驚いたのは、この方法だと、背中のスナップ部分で、厚みが吸収出来るから、薄い本から厚い本まで、違和感なく使えるという事でした。もっとも、背表紙からスナップまでの距離が限られているので、あまり厚い本は入りませんが、薄い本から、ある程度の厚み(約2cmくらいまで)の本まで、何の調整もせずに使えるブックカバーというのは、少なくともガイド納富は初めて見ました。背中で調整するため、本をしっかりカバーに差し込みさえすれば、それで、厚さの調整が完了するのです。シンプルなアイディアですが、何だかとても感動してしまいました。

革のブックカバーであることを最大限に活かしたデザイン

同じ革を使った三年使用のペンケースと並べてみた。この黄色の革は、使っていると、右のペンケースのような色になるのだ

このデザインは、厚みが調整出来る、本を不必要に曲げずに済む、といったメリットの他にも、革をキレイに見せる事が出来たりもします。曲げる事なく、なだらかに革が広がるので、見た目にも魅力的だし、背表紙のところに折り癖が付く事も、ひび割れが出来ることもありません。革で作られている、というメリットを最大限に活かしたデザインであるとも言えるわけです。

もちろん、厚手のものや、中芯を使えば、布でも実現出来るデザインですが、やはり、革のしなやかさや強さがあってこそ、という感じがします。しかも、革でありつつ、表紙の端の折り返しは、ステッチではなく、きっちりと革を折って処理してあるので、指の叉に当たる部分も心地よく、全体にもシャープな書籍本来の輪郭を損なっていません。だから、カバーを装着した状態が、とてもカッコ良く見えるのです。

こんな風に、指を引っかけて持つと快適に本が読める

手に持った時、背中が上手く指の中で処理出来ないのではとも思ったのですが、指先で、ホック留めの先端部分を引っかけるようにして持つと、これが意外に快適で、ページ捲りなどもしやすく、使い勝手も良好なカバーになっていました。さらに、革は経年変化が楽しめる植物鞣しのものなので、使ううちに味が出てきます。黄色のタイプなど、使っていると、1年くらいですっかり艶のある明るい茶色になります。それは、ガイド納富愛用のペンシースで既に体験済み。黒や茶は、とても艶が増す感じに変わって行きます。

ガイド納富の「こだわりチェック」


この、ヤマサキデザインワークスのブックカバーは、見た目も、機能も、使い勝手も、かなりハイレベルだと思うのですが、欠点がないわけではありません。まず、縦のサイズが、文庫用としては、ほんの少し短い気がします。講談社文庫、ちくま文庫などは、スムーズに入るのですが、角川文庫だとギリギリで、入れるのにちょっと苦労します。新潮文庫、扶桑社文庫は入りません(新潮文庫は無理に入れれば入らなくもないですが、ちょっと本が曲がります)。ハヤカワ文庫のトールサイズには対応しなくても良いですが、新潮文庫がスムーズに入る程度、つまり、あとほんの3mmほど、高さを高くしてもらえると、より多くの文庫が収納出来るので、是非、改良をお願いしたいところです。

また、本を差し込む部分も、もう少し深いと、本の最初の方や最後の方を読む際に、差し込み口から本の中が引っ張られるように出てきそうになることが避けられるので、より安定して読めるようになると思うのです。構造上、右も左も深く差し込めるように作れるのですから、そのメリットを活かして欲しいと思いました。その二点が改良されれば、ブックカバー業界(というのがあるのかどうかは知りませんが、というより、多分無いですけど)でも、指折りの、完成度の高いカバーになると思います。あと、要望としては新書用、B6用も欲しいなと、個人的には思います。

それこそ、不要な人には全く必要なく、そうでなくても書店で付けてくれる紙のカバーで十分という人も多い、言って見ればニッチなジャンルではあるのですが、それでもこだわれば、色々と、考える事も多いのが、ブックカバーの面白さです。そんな中、ヤマサキデザインワークスのブックカバーのような、新しいアイディアの元で作られたものが出てきて、それが使いやすいと、嬉しくなってしまうのは、まあ、ブックカバー好きとしては仕方がない事だと思うのです(誰に言い訳してるんでしょう、私は)。

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