/薬の基礎知識

薬の保存法・処分法

薬の成分は熱や湿気などで変化することがあります。また、古くなった薬も成分変化が懸念され危険です。正しい保存方法と、使用期限、そして期限切れの薬の捨て方をご紹介します。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

薬の保管方法

薬の成分は湿気、熱などで変化することがあります
特に指示がない限り、一般的には、室温(1~30℃)で、日光や過剰な湿気を避けて保存してください。指示がない時に、冷蔵庫で保管すると湿気や乾燥などにより成分が変わってしまうこともあります。

※目薬などで、一部冷蔵庫で保管する薬もありますが、薬剤師が指示をしてくれると思います。

また、薬を持ち歩く時、薬がシートや袋に入っている場合はそのままでも大丈夫です。ビンなどに入っていて持ち歩くのが大変な場合、小分けして持ち歩くことがあるかもしれませんが、湿気や汚れなどに注意して、なるべくその日の分の薬だけを持ち歩くようにしてください。

薬の使用期限

薬にも使用期限があります。まず、薬局などで購入できる一般用医薬品(OTC医薬品)には、外箱に使用期限が書いてありますが、これは未開封のときの期限です。

開封した場合は、風邪薬などは1シーズン、ビタミン剤や塗り薬などは6ヶ月~1年程度、目薬は1~2ヶ月などが使用期限の目安になります。

前述のように薬は、光や熱、水分、空気などで成分が変化してしまうことがあります。成分変化した薬は、害になることもありますので、使用期限を守ってくださいね。

また、医師の処方せんが必要な薬(医療用医薬品、処方せん薬)の場合、使用する期限は、原則的に薬の袋に書いてある期間となります。例えば、1日3回5日分でしたら、原則的に5日目が使用期限になります。それを数日越すぐらいでしたら特に問題ありませんが、数ヶ月以上取っておくことはやめましょう。

特に、医療用医薬品は、処方せんが発行されたときの疾患のために、またその人自身のために処方された薬です。次回同じような病気になったとき、誰かが病気になったらあげようなどと、古くなった薬をいつまでも取っておくことは絶対にやめてくださいね。

なお、初めから薬を余らせないようにする意識も重要です。必要以上に購入したり、飲み忘れて余ってしまうことのないようにしましょう。

薬の捨て方

残ったり期限が切れたお薬の処分方法も覚えておきましょう。

薬の捨て方の基本は、容器と薬を分けて捨てることです。薬の成分は燃やして、容器は可燃または不燃ごみになります。
なお、可燃ごみと、不燃ごみなどの区分は、自治体で定められる方法に従ってください。

■錠剤やカプセル剤について
錠剤やカプセル剤は、容器から取り出して可燃ごみとして捨てます。なるべく紙や袋で包んで捨てるようにしましょう。

■軟膏・クリームについて
不要な紙やちり紙などによく中身を絞り出して、丸めて可燃ごみとして捨てます。容器は、材質(金属、プラスチックなど)によって分別して捨ててください。

■液体の薬について(目薬、飲み薬など)
なるべく紙に吸収させたり、燃やして良いビニールに入れて可燃ごみとして捨ててください。油を捨てるときのような感じです。

液体の薬の場合は、大量の水とともに下水に流すという方法も言われていますが、最初にお話しましたように、医薬品による河川の汚染が問題になっています(特にアセトアミノフェンという解熱鎮痛薬や抗生剤など)。

■スプレー錠の薬について(エアロゾル、噴霧剤など)
中身を出してから捨ててください。中身を出す時は、火気のないところや、側に子供などいないかどうか気をつけて、なるべく外や換気の良いところで行ってください。

■貼り薬について(シップ、ハップ剤など)
シップ自体は、可燃ごみとして捨ててください。シップについているビニールや、シップが入っている袋には、プラスチックかどうか印字されていると思いますので、それに従ってください。

■容器について
ガラスビンやプラスチック容器、プラスチックとアルミのシート(押すと薬がプチっと出てくるシート状のもの:PTPシート)から薬を取り出します。ラベルをはがして容器をゆすぐなど、住んでいる自治体の捨て方に従って捨ててください。

プラスチック容器やPTPシートには、プラスチックのリサイクルマークが印字されていると思います。分別の際はそのマークを参照ください。

子供用の液体の飲み薬が入っている容器は、再利用できる場合があります。衛生面の問題もありますので、薬局に問い合わせてみてください。
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