女性に多いがん…乳がんを筆頭に、大腸がん、肺がん、胃がんなど
女性に多いがんの効果的な予防法と早期発見のポイントを押さえましょう
がんは全身のあらゆる臓器にできる可能性があります。とはいうものの、がんの予防や早期発見を考えるときに、全身のがんを対象にするということは、あまり現実的ではありません。また、男女特有の臓器もあるので、男女別に考えることも重要です。
国立がん研究センターが発表しているがん統計(2019年)によると、日本人女性がかかりやすいがんの上位5つは以下のようになっています。
1位 乳がん
2位 大腸がん(直腸がん・結腸がんを含む)
3位 肺がん
4位 胃がん
5位 子宮がん
これら5つの部位をあわせると、全体の70%を超えることになります。ということは、まずは、これら5つのがんを念頭におき、がんの予防や早期発見に向けた対策を考えることが重要であると言えます。
がん予防・早期発見に重要な5ポイント
日本人女性がかかりやすいがんを念頭に置いたときに有効ながん予防法と、初期症状を見逃さないための早期発見のポイントはなんでしょうか? 特に重要な5つのポイントについて、まとめてみましょう。1. 喫煙習慣がある場合は、禁煙する
まず、1位から5位すべてのがんについて、喫煙は共通の危険因子です。特に、日本においては、若年層の女性の喫煙率が高く、20~30年後のがん発生頻度の上昇が懸念されています。もし現在、喫煙をされている場合は、まずは禁煙から始めることが有効ながん対策の第一歩です。
2. 慢性的な便通異常や月経異常を放置しない
便秘や下痢が続いたり、便の色が赤くなったり黒くなったりといった便の異常にも注意が必要です。また、月経量が多かったりおりものに血が混じっていたりということも女性器のがんの初期症状として見られることがあります。男性でもそうですが、女性はとくに「下の症状」は恥ずかしさもあり相談できずに悩んでおられる場合もあります。
3. ダイエットによらない体重減少がないか注意する
女性の永遠のテーマの一つがダイエットかも知れません。しかし、予期せぬ体重の減少や食欲の低下には注意が必要です。
4. 乳房の自己触診を行う
近年、急速に増えつつあるのが乳がんですが、乳がんは、自己触診による発見が可能な数少ないがんです。月に一度、ご自身で触診し、しこりがないかどうか調べておかれることは重要です。
5. がん検診を活用する
がん検診では、胸部レントゲン写真や、胃カメラ、バリウム検査の他に、年齢によっては、マンモグラフィーや子宮がん検診が入っているコースもあります。また、最近では、がん細胞にブドウ糖が取り込まれる性質を利用したPET検診を受けられるコースもあります。がん検診はただ受けるだけではなく、もし検査結果の異常を指摘された場合には、放置せず、指示に従って医師の診察を受けることが大切です。
これら5つのことは、日常の生活習慣に気を配り、慢性的な体調の異常がないかに注意し、定期的な健康診断をうけておくということでカバーできることです。特に女性では、罹患率の高さから考えても、乳房の自己触診は非常に重要です。
とくに、あまり心配しすぎる必要はありませんが、心配なことがあれば、お近くの内科の先生にご相談になるのが良いでしょう。
■参考
・がんの統計2023 (PDF)(公益財団法人 がん研究振興財団)