がんの予防と再発予防
攻撃は最大の防御という言葉がありますが、がんの治療では、「予防は最大の治療」とも言えます。また、がんの初期治療後は再発予防への取り組みが欠かせません。 |
しかし、がんについては予防に勝る治療はないといえます。また、がんは最初の治療後、5年間、再発がないことが基本的な「完治」の考え方ですので、再発予防も重要なテーマです。
がんの発生のメカニズムや増殖の過程を押さえつつ、がん予防と再発予防の具体的方法を考えてみましょう。
国立がんセンターが示す「がん予防法」
がん予防には特効薬はありません。毎日の生活の中で気をつけるべき事がほとんどです。「急がば回れ」の精神で取り組むことが大切です。 |
1)たばこは吸わない。他人のたばこの煙を可能な限り避ける。
2)適度な飲酒。具体的には、1日あたりエタノール量に換算して約23g以内。飲まない人、飲めない人は無理に飲まない。
3)食事は偏らずバランス良く。
・野菜や果物不足にならない。例えば、野菜は毎食、果物は毎日食べて、少なくとも1日400gとる。
・塩蔵食品、食塩の摂取は最小限に。具体的には、食塩として1日10グラム未満、特に、塩分濃度が10%程度の高塩分食品は、週に1回以内。
・熱い飲食物、保存・加工肉の摂取は控えめに。
4)定期的な運動の継続を。例えば、ほぼ毎日合計60分程度の歩行などの適度な運動、週に1回程度は汗をかくような運動。
5)成人期での体重を維持(太りすぎない、やせすぎない)。具体的には、中年期男性のBMIで27を超さない、21を下まわらない。中年期女性では、25を超さない、19を下まわらない。
6)肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合はその治療の措置をとる。がんを引き起こすウイルスへの感染を予防する。
これらのうち、1)~5)は、日常の生活習慣改善が重要です。特に、1)の禁煙は、間違いなくがん予防の最大のポイントです。
また、6)の肝炎ウイルスについては、慢性肝炎から肝がんへと進行していくことが知られています。血液検査で感染の有無は確認できますし、健康診断で測定されている場合もあります。さらに、近年では子宮頸がんとヒトパピローマウイルス感染とに因果関係があることがわかってきました。このウイルスは性行為によって感染するので、性感染症の予防に準じた対策が重要です。
研究がすすみつつある「がんの再発予防」
がんの予防については、一定の見解が定まってきました。しかし、がんの再発予防については、現在、色々な研究成果が出始めているところです。 |
しかし、補完医療の観点から大学などの研究機関での研究が進むにつれて、信頼できるデータをもつ機能性食品も少しずつではありますが、出てきています。今後、そう遠くない未来に、「がんの再発予防」についてのメニューは広がっていくと考えられます。
ただ、現時点でも、ただ一つ、効果があきらかな再発予防があります。
それが、「禁煙」です。
タバコとがんの関わりは、つくづく深いものだと改めて感じていただけるのではないでしょうか。